浄水場非公開近代水道百選

仙台市茂庭浄水場

釜房ダム系統を担う仙台市最大の現役浄水場。1975年に全面通水し、1978年に第四次拡張事業が完成した。残存水圧を利用する混薬、6池の高速凝集沈でん、20池の複層急速ろ過で、主に宮城野区・若林区・太白区へ給水する。

年代・現況1975年(昭和50年)全面通水・1978年(昭和53年)第四次拡張事業完成
所在地仙台市
構造残存水圧利用の着水混薬井・高速凝集沈でん池6池・複層急速ろ過池20池
見学通常は浄水場内部を一般公開していない。仙…

第四次拡張事業が生んだ仙台最大の浄水場

昭和40年代の仙台では、人口増加、産業活動の高度化、水洗トイレの普及によって水需要が伸び続けた。仙台市は1966年に第四次拡張事業を始め、川崎町に建設された釜房ダムの水源確保と、市内最大能力となる茂庭浄水場の整備を進めた。市の年表では1975年4月1日に1日最大200,000立方メートルで全面通水し、現在の施設案内では1978年を完成年としている。本ページでは、1975年を全面通水、1978年を第四次拡張事業完成の節目として区別する。

釜房ダムから約10.3キロメートルを自然流下

原水は釜房ダムの仙台市水道局取水設備から取り入れられ、上追沢沈砂池で大きな砂や砂利を除いた後、隧道7,234メートルと導水管3,101メートルを通って茂庭浄水場へ届く。導水管の口径は1,100〜1,650ミリメートル。ダムと浄水場の高低差を利用する自然流下方式で、上追沢沈砂池では原水の流れを使った最大出力199キロワットの小水力発電も行われる。

残存水圧を生かす着水混薬井

茂庭浄水場の特徴は、導水路に残る水圧を薬品の混合に利用する点にある。筒状の着水混薬井を囲む円形の外観は、機能がそのまま施設の形に表れた部分で、仙台市水道局は近代水道百選に選ばれた施設として紹介している。単に規模が大きいだけでなく、水源から届く水のエネルギーを処理工程へつなぐ設計に特色がある。

6池の高速凝集沈でんと20池の複層急速ろ過

原水にはポリ塩化アルミニウムなどを加えて細かな濁りを集め、傾斜板を備えた高速凝集沈でん池6池で沈める。上澄みは、アンスラサイトと砂を重ねた重力式の複層急速ろ過池20池を通し、次亜塩素酸ナトリウムで消毒する。施設能力は1日190,500立方メートル、令和4年度(2022年度)の平均配水量は1日113,338立方メートル。場内75,000立方メートルの配水施設で需要の変化を調整し、主に宮城野区・若林区・太白区へ送る。

水源のカビ臭対策と毎月の水質検査

釜房湖では過去に藍藻類を原因とするカビ臭が発生し、茂庭浄水場では粉末活性炭による処理を行ってきた。水源側でも1984年から曝気循環の実験が始まり、その後も水質保全設備の改良が続けられている。令和7年度の茂庭配水では、一般細菌は毎月0、大腸菌は不検出、濁度は0.1度未満で、味と臭気も全測定月で異常なしと公表された。

震災対応・再生可能エネルギー・長寿命化

東日本大震災では県広域水道の受水停止などに対応して市中心部への代替配水を担い、2011年3月16日から配水量を増やした記録がある。同年度には定格出力19.3キロワットの太陽光発電設備が運転を開始した。仙台市は配水池、ろ過池、浄水井などの耐震化・補修を段階的に進め、2025〜2029年度は今後40〜50年間の安定運転を見据えた長寿命化と、ろ過池洗浄用高置水槽の新設を計画している。

Deep research

仙台市水道局と国土交通省の公開資料を突き合わせ、施設の成立、釜房ダムからの導水、浄水処理、配水実績、水質、見学条件、耐震化・長寿命化までを整理しました。数値は資料ごとの基準時点を明記し、1975年の全面通水と1978年の事業完成を区別しています。

最終確認:2026年7月28日

施設データを詳しく見る

敷地面積
228,521平方メートル

令和6年度水質検査計画

施設能力
190,500立方メートル/日
令和4年度平均配水量
113,338立方メートル/日

2022年度・施設能力の約59%

配水能力
144,500立方メートル/日

水利権等に基づく値

場内配水施設
75,000立方メートル
主な給水区域
宮城野区・若林区・太白区

釜房ダムから家庭までの水の流れ

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    釜房ダムで取水

    碁石川に築かれた釜房ダムの貯留水を、仙台市水道局の取水設備から取り入れます。国土交通省は茂庭浄水場向けの最大取水量を1日196,100立方メートルと案内しています。

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    上追沢沈砂池で砂を除去

    原水は茂庭浄水場の取水施設である上追沢沈砂池を通り、大きな砂や砂利を沈めます。この区間では原水の落差を利用した最大出力199キロワットの小水力発電も行われています。

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    約10.3キロメートルを自然流下

    隧道7,234メートルと、口径1,100〜1,650ミリメートルの導水管3,101メートルを通って浄水場へ届きます。ポンプで押し上げるのではなく、地形の高低差を利用する自然流下方式です。

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    残存水圧を使って薬品を混合

    導水路に残る水圧を混薬に利用することが茂庭浄水場固有の特色です。筒状の着水混薬井を囲む円形の外観は、施設の機能が形に表れた部分でもあります。

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    6池で沈でん、20池で急速ろ過

    ポリ塩化アルミニウムなどで濁りを集め、傾斜板を備えた高速凝集沈でん池6池で沈めます。その後、アンスラサイトと砂を重ねた重力式の複層急速ろ過池20池を通し、次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。

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    配水施設から市街地へ

    処理した水は場内75,000立方メートルの配水施設などで需要変動を調整し、主に宮城野区・若林区・太白区へ送られます。

茂庭浄水場の年表

  1. 第四次拡張事業を開始

    人口増加、産業活動の拡大、水洗化による水需要増加へ対応するため、釜房ダムの水源確保と茂庭浄水場整備を柱とする事業が始まりました。

  2. 釜房ダム完成

    洪水調節と各種用水の供給を担う釜房ダムが完成し、仙台市上水道の大規模な新水源が整いました。

  3. 茂庭浄水場が全面通水

    仙台市水道100周年記念誌の年表は、第四次拡張事業の途中で1日最大200,000立方メートルの全面通水を開始したと記録しています。

  4. 第四次拡張事業が完成

    現在の仙台市水道局はこの年を茂庭浄水場の完成年として案内しています。全面通水年と事業完成年は資料上の意味が異なります。

  5. 釜房湖のカビ臭対策を強化

    過去に発生したカビ臭へ対応するため、釜房ダムで全層曝気循環の実験が始まりました。水源側の対策と浄水場での粉末活性炭処理を組み合わせてきました。

  6. 震災対応と太陽光発電

    東日本大震災時には市中心部への代替配水を担い、3月16日から配水量を増やした記録があります。同年度には定格出力19.3キロワットの太陽光発電設備が運転を開始しました。

  7. 上追沢沈砂池で小水力発電を開始

    釜房ダムから流れる原水のエネルギーを活用する、最大出力199キロワットの官民連携発電事業が始まりました。

  8. 4号・9号配水池の耐震化が完了

    主力浄水場の災害対応力を高めるため、配水池などの耐震化が段階的に進められました。

  9. ろ過池・浄水井・ポンプ井を補修

    劣化調査を踏まえ、ろ過池などの長寿命化工事が実施されました。

  10. 今後40〜50年の運転を見据えた長寿命化

    仙台市は耐震性に問題はないと評価した上で、設備更新と劣化補修を進め、ろ過池洗浄用高置水槽を新設する計画です。

見学・アクセス情報

仙台市茂庭浄水場は現在稼働している水道施設です。所在地が公開されていても、敷地内へ自由に入れることを意味しません。

一般見学
通常は受け付けていません

稼働中の水道施設で、内部は通常非公開です

限定見学
水道サポーター等の募集企画で実施例あり

2025年7月31日に施設見学を実施

予約方法
常設の一般予約窓口は確認できません

募集企画ごとの対象・定員・申込方法に従います

開場時間・休場日
一般来訪者向けの案内なし
駐車場・公共交通
一般見学者向けの案内なし

所在地公開は自由入場を意味しません

施設情報の問い合わせ
仙台市水道局 浄水部施設課 浄水管理係

電話 022-304-0218。見学受付を保証する窓口ではありません

見学目的でも門・柵・管理区域を越えず、限定公開が告知された場合だけ主催者の案内に従ってください。

公表された水質データ

令和7年度(2025年4月〜2026年3月)茂庭配水

仙台市水道局が毎月公表した茂庭配水の測定結果から、検索者が確認しやすい代表値を抜き出しました。全項目は公式PDFで確認できます。

一般細菌
年間を通じて0個/mL
大腸菌
年間を通じて不検出
濁度
年間を通じて0.1度未満
pH値
平均7.4

7.2〜7.6

硬度
平均29.7mg/L

22.9〜34.9mg/L

総トリハロメタン
平均0.013mg/L

最高0.031mg/L

味・臭気
全測定月で異常なし
PFOS・PFOA
測定3回すべて0.005μg/L未満

水質値は年度や採水条件で変動します。飲用上の判断には、仙台市水道局が公表する最新の水質検査結果を優先してください。

よくある質問

茂庭浄水場は仙台市で一番大きい浄水場ですか?

はい。仙台市水道局は施設能力1日190,500立方メートルの市内最大の浄水場と案内しています。令和4年度(2022年度)の平均配水量は1日113,338立方メートルでした。

茂庭浄水場の水源はどこですか?

宮城県川崎町の釜房ダム貯留水です。ダムから上追沢沈砂池を経て、隧道と導水管を自然流下し、約10.3キロメートル先の浄水場へ届きます。

どの地域へ水道水を送っていますか?

仙台市水道局は、主に宮城野区・若林区・太白区へ給水すると案内しています。「主に」であり、各区域のすべてが常に同一系統という意味ではありません。

茂庭浄水場は見学できますか?

常設の一般見学施設ではありません。水道サポーターなどを対象とする限定企画で内部見学が行われた例はありますが、自由入場や随時予約はできません。

1975年と1978年のどちらが完成年ですか?

仙台市の年表は1975年4月1日を全面通水日と記録し、現在の施設案内は1978年を完成年としています。本ページでは、通水開始と第四次拡張事業の完成を別の節目として扱っています。

茂庭浄水場の特徴は何ですか?

導水路に残る水圧を利用して薬品を混ぜる仕組みと、筒状の着水混薬井を囲む円形の外観が特徴です。この外観を含む施設は近代水道百選に選ばれています。

茂庭浄水場の水は硬水ですか?

令和7年度の茂庭配水の硬度は平均29.7mg/Lでした。一般に軟水とされる範囲ですが、数値は年度や採水時期で変動するため、最新の公式検査結果を確認してください。

現在も使われていますか?

現在も稼働中の基幹浄水場です。仙台市は2025〜2029年度の計画で、今後40〜50年間の安定運転を目標に設備更新や劣化補修を進めています。

仙台市茂庭浄水場を理解するための要点

本ページでは、仙台市茂庭浄水場宮城県・仙台市浄水場として記録しています。以下は掲載資料から確認できる基本情報です。

記録上の所在地
宮城県仙台市太白区茂庭字上ノ原山128
施設種別
浄水場
年代・供用状況
1975年(昭和50年)全面通水・1978年(昭和53年)第四次拡張事業完成
構造・形式
残存水圧利用の着水混薬井・高速凝集沈でん池6池・複層急速ろ過池20池
能力・容量
施設能力190,500立方メートル/日、令和4年度平均配水量113,338立方メートル/日、場内配水施設75,000立方メートル
文化財等
近代水道百選

水道システムの中での役割

浄水施設は、水源から取り入れた原水の濁りや不純物を取り除き、安全な水道水へ処理する工程を担います。処理方式や能力は水源の性質、給水人口、整備された年代によって異なります。 この一般的な役割と、上記の調査本文に記載したこの施設固有の歴史・構造を分けてご覧ください。

見学・現地確認について

掲載上の見学情報は「通常は浄水場内部を一般公開していない。仙台市水道局が募集する水道サポーター等の限定施設見学が実施される場合のみ、対象者・日時・申込条件に従って見学できる」です。稼働中の水道施設や管理区域は、衛生・保安上の理由から通常非公開の場合があります。門や柵を越えず、公道など許可された場所から確認してください。

掲載内容はページ末尾の出典・参考資料15件を基に整理しています。資料間で表記が異なる場合は、自治体・管理者の案内を優先してください。

所在地マップ

宮城県仙台市太白区茂庭字上ノ原山128

OpenStreetMapで大きく見る ↗

ピンは公開されている登録住所を基にした位置の目安です。施設の管理区域には立ち入らないでください。

座標確認:国土地理院 住所検索

関連タグ

#現役施設#昭和後期#釜房ダム#高速凝集沈でん#複層急速ろ過#基幹浄水場#近代水道百選#通常非公開

年代・出典の扱いと現役施設を確認するときの注意はアーカイブの読み方・見学ガイドにまとめています。

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