渡良瀬川の発電系統を下流で調整する発電専用ダム
高津戸ダムは、群馬県みどり市大間々町高津戸の利根川水系渡良瀬川にある群馬県企業局管理のダムです。貯水池名は高津戸調整池です。現行の県公式ページでは、目的を「発電」、型式を重力式コンクリート、堤高29.0m、堤頂長92.0m、堤体積28,400m³としています。[1][2]
総貯水容量は808,000m³、有効貯水容量は530,000m³、堆砂容量は92,000m³です。この3値だけでは総貯水容量の全内訳が一致しないため、差額を独自に別用途の容量と推定していません。[1]
正式目的はP(発電)のみ
群馬県の「群馬県内のダム一覧」では、高津戸ダムの目的記号はPのみです。F(洪水調節)、N(河川維持・不特定)、W(上水道)などは付いていません。[2]
洪水吐4門、設計洪水位、予備放流水位、利水放流設備を備えますが、こうした設備が存在することと正式目的にFを持つことは同義ではありません。本記事では洪水吐を理由に治水目的を追加していません。[1][2]
群馬県企業局の発電課は、ダム・水路を含む発電施設について維持管理・改良・保安、水利に関する申請、水運用調整を担当しています。高津戸ダムも県営電気事業の水運用設備として管理されています。[8][9]
東・小平発電所のピーク流量を調整
群馬県は高津戸発電所について、東発電所・小平発電所のピーク発電流量を高津戸ダムで調整し、流量一定運転で発電すると説明しています。[3]
東発電所は草木ダムに建設されたダム式発電所で、最大出力20,300kW、最大使用水量24m³/sです。小平発電所は東発電所放水路から約10.7km導水する水路式・地下式発電所で、最大出力36,200kW、最大使用水量24.29m³/sです。[4]
企業局の発電所Q&Aでは、小平発電所を県営水力発電所の中で最大出力の発電所と説明しています。高津戸ダムは、その小平発電所を含む上流側の発電流量変動を下流で受ける調整池として機能します。[3][4][10]
高津戸発電所は最大5,300kW
高津戸発電所は高津戸ダムに建設されたダム式発電所で、渡良瀬川水系最下流の発電所と県が説明しています。最大出力5,300kW、最大使用水量30m³/sです。[3][5]
最大出力5,300kWは発電所の能力であり、高津戸ダムの貯水容量808,000m³や有効容量530,000m³とは異なる指標です。また、最大使用水量30m³/sは流量で、年間発電電力量ではありません。[1][3]
県の2025年10月更新の発電所一覧にも高津戸発電所が掲載され、現在の県営電気事業の水力発電所として扱われています。[5][8]
運転開始月は公式資料に6月と7月の両表記
渡良瀬発電事務所の個別ページは、高津戸発電所について「昭和48年7月に運転を開始」としています。[3]
一方、群馬県企業局の2025年更新「発電所一覧表」は供給開始年月を昭和48年6月と記載しています。[5]
同じ県公式資料内で月が異なるため、本記事では1973年の運転開始という点を共通情報とし、6月・7月の両表記を残します。どちらかを独自に誤記とは判断していません。[3][5]
1976年から東・小平発電所が加わる
東発電所と小平発電所はいずれも1976年5月に運転を開始しました。東発電所は草木ダムの水を利用し、小平発電所は東発電所放水路から約10.7kmのトンネルで導水します。[4][5]
現在の県公式説明は、この2発電所のピーク発電流量を高津戸ダムで調整して高津戸発電所で流量一定運転する関係を明記しています。[3]
高津戸発電所自体は1973年に運転開始しているため、1973~1976年の具体的な水運用を現在の「東・小平→高津戸」の説明から遡って推測していません。[3][4][5]
東第二発電所は別の小水力設備
草木ダムには東第二発電所もあり、ダム下流へ流す維持流量0.329m³/sを利用して最大240kWを発電します。2006年9月運転開始です。[4][5]
東第二発電所は東発電所・小平発電所と同じ渡良瀬発電事務所管内ですが、高津戸ダムが調整する「東発電所・小平発電所のピーク発電流量」という県の説明に東第二発電所は含まれていません。[3][4]
そのため、高津戸ダムの主たる調整対象として東第二発電所を追加していません。[3][4]
高津戸調整池は有効容量53万m³
高津戸調整池の集水面積は472.0km²、湛水面積は0.113km²です。総貯水容量808,000m³に対し、有効貯水容量は530,000m³です。[1]
常時満水位はEL170.5m、予備放流水位はEL165.5m、最低水位はEL163.2m、設計洪水位はEL173.0mです。ELは海抜標高であり、堤高29.0mや貯水池水深とは別の数値です。[1]
集水面積472.0km²は高津戸調整池の水面積ではありません。湛水面積0.113km²とは意味が異なります。[1]
洪水吐4門・取水ゲート・利水放流ゲート
洪水吐は高さ13.791m×幅9.200mの鋼製ラジアルゲート4門です。取水設備は高さ4.000m×幅4.530mの鋼製ローラーゲート1門、利水放流設備は高さ2.000m×幅2.115mの鋼製ローラーゲート2門です。[1]
高津戸ダム公式ページは放流警告看板位置図も公開しています。発電専用ダムであっても放流に伴う下流水位変化への安全対策が必要ですが、警告設備の存在をF目的の根拠とはしていません。[1][2]
現在も渡良瀬発電事務所が運転・保守を担当
渡良瀬発電事務所の現行組織ページでは、管理係が発電施設の土木関係の保守管理・運転操作、発電係が電気関係の保守管理・運転操作を担当するとしています。[9]
同事務所は東、小平、高津戸、沢入、桐生川、東第二、田沢などの発電所を所管しています。高津戸ダムは、高津戸発電所とともにこの渡良瀬川系統の発電設備群の一部として管理されています。[3][4][9]
県企業局全体では2025年10月時点で水力発電所34か所、太陽光発電所3か所を運転しています。この全体数は高津戸ダム単独の設備数ではありません。[8]
高津戸発電所は県営発電施設見学の対象
群馬県企業局の現行見学案内では、高津戸発電所は県東部地域の見学対象施設として掲載されています。窓口は渡良瀬発電事務所で、見学申込書も公開されています。[6]
これは「高津戸発電所」の見学制度です。群馬県河川課の現行「ダム見学(堤体内の見学含む)」対象一覧には、高津戸ダムは掲載されていません。[7]
そのため、本記事では高津戸発電所の見学制度は案内しますが、「高津戸ダムの堤体内部を見学できる」とは記載しません。発電所見学とダム内部見学を分けています。[6][7]
ダムカードは渡良瀬発電事務所で配布
高津戸ダムのダムカードは、渡良瀬発電事務所(みどり市大間々町桐原1163)で配布されています。平日の9:00~16:00、来訪者1名につき1枚です。管理作業等で職員不在の場合があります。[1]
企業局は2019年6月1日から、企業局管理5ダムで建設当初の写真を使用したダムカードVer.3.0を配布しています。高津戸ダムも対象です。[8]
高津戸ダム公式ページでは2021年10月8日からカード配布を再開したと案内しています。[1]
群馬県河川課の現行カード一覧にも高津戸ダムが掲載されています。一方、同ページの堤体見学対象には含まれないため、カード配布と内部見学を同じ条件として扱っていません。[7]
Deep research
群馬県企業局の現行ダム諸元、渡良瀬発電事務所管内の発電所説明、2025年更新の発電所一覧、現行の見学・カード案内、渡良瀬発電事務所の管理体制を照合しました。P目的と洪水吐設備、1973年6月・7月の運転開始表記差、発電所見学とダム堤体見学、上流発電所との水運用を区別しています。角括弧は記事末尾の出典番号です。
最終確認:2026-10-01
施設データを詳しく見る
- 堤高・堤頂長
- 29.0m/92.0m
- 堤体積
- 28,400m³
- 総貯水容量
- 808,000m³
- 有効貯水容量
- 530,000m³
- 集水面積・湛水面積
- 472.0km²/0.113km²
- 目的・完成年度
- P/1973年度
群馬県企業局・県内ダム一覧の公表値。[1][2]
ダム本体のコンクリート体積。貯水容量とは別です。[1]
県内ダム一覧では80.8万m³と表記されています。[1][2]
高津戸調整池の公表値。現在の実貯水量ではありません。[1]
流域面積と貯水池水面の面積を区別した値です。[1]
正式目的は発電のみです。[2]
草木ダム側から高津戸ダムへつながる発電用水の流れ
現在の群馬県公式説明に基づき、東・小平発電所のピーク流量を高津戸ダムが調整する関係を整理しています。[3][4]
- 1
草木ダムの水を東発電所で利用する
東発電所は最大20,300kW、最大使用水量24m³/sのダム式発電所です。[4][5]
- 2
東発電所放水路から小平発電所へ導く
約10.7kmのトンネルで導水します。[4]
- 3
小平発電所で発電する
最大36,200kWで、企業局最大出力の水力発電所です。[4][10]
- 4
東・小平のピーク発電流量を高津戸調整池で受ける
県が高津戸発電所の運転説明として明記しています。[3]
- 5
有効容量530,000m³で流量変動を調整する
高津戸ダムの発電用調整池としての公表容量です。[1]
- 6
高津戸発電所を流量一定で運転する
最大5,300kW、最大使用水量30m³/sのダム式発電所です。[3][5]
高津戸ダムと渡良瀬川発電系統の年表
高津戸ダム完成年度
群馬県内ダム一覧が昭和48年度完成としています。[2]
高津戸発電所の運転開始表記
発電所一覧は6月、個別紹介は7月と記載しています。[3][5]
東発電所が運転開始
草木ダムに建設された最大20,300kWのダム式発電所です。[4][5]
小平発電所が運転開始
最大36,200kWの地下式・水路式発電所です。[4][5][10]
東第二発電所が運転開始
草木ダム下流の維持流量を利用する最大240kWの別発電所です。[4][5]
ダムカードVer.3.0配布開始
企業局管理5ダムで建設当初の写真を使ったカード配布が始まりました。[8]
ダムカード配布を再開
高津戸ダム公式ページが再開日を明記しています。[1]
高津戸発電所の紹介ページ更新
現在のピーク流量調整・流量一定運転の説明が掲載されています。[3]
高津戸ダム公式ページ更新
現行諸元・カード配布条件が掲載されています。[1]
企業局発電所一覧を更新
高津戸発電所を現役の県営水力発電所として掲載しています。[5]
見学・アクセス情報
2026年10月1日調査。高津戸ダムはカード配布対象ですが、現行の県「ダム堤体見学」対象一覧には掲載されていません。一方、高津戸発電所は企業局の発電施設見学対象です。発電所見学とダム内部見学を分けて案内します。[1][6][7]
- ダムカード
- 配布中
- カード配布場所
- 渡良瀬発電事務所
- カード配布日時
- 平日9:00~16:00
- 配布枚数
- 来訪者1名につき1枚
- 発電所見学
- 高津戸発電所は見学対象
- ダム堤体内部見学
- 現行の県対象一覧には掲載なし
- 問い合わせ
- 渡良瀬発電事務所 0277-73-0717
- ダム所在地
- みどり市大間々町高津戸
2021年10月8日から配布再開と公式ページに記載されています。[1]
みどり市大間々町桐原1163です。[1][9]
土日祝日・年末年始を除きます。[1]
管理作業で職員不在の場合があります。[1]
渡良瀬発電事務所が窓口で、申込書が公開されています。[6]
カード対象には掲載。発電所見学と同一条件とはしていません。[7]
現行の事務所連絡先です。[1][9]
カード配布場所の渡良瀬発電事務所とは別所在地です。[1][2]
見学目的でも門・柵・管理区域を越えず、管理者が案内する公開条件と指定経路に従ってください。
高津戸ダムが調整する発電所の関係
群馬県企業局の現行公表値
高津戸発電所は、東発電所・小平発電所のピーク発電流量を高津戸ダムで調整し、流量一定で発電します。[3][4][5]
- 東発電所
- 20,300kW/24m³/s
- 小平発電所
- 36,200kW/24.29m³/s
- 高津戸発電所
- 5,300kW/30m³/s
1976年5月運転開始。草木ダムに建設されたダム式。[4][5]
1976年5月運転開始。県営水力発電所で最大出力。[4][10]
渡良瀬川水系最下流のダム式発電所。[3][5]
洪水吐4門と正式目的Pを分ける
高津戸ダムには洪水吐4門・予備放流水位・設計洪水位がありますが、群馬県一覧の正式目的はPのみです。[1][2]
- 正式目的
- P
- 洪水吐
- 鋼製ラジアルゲート4門
- 予備放流水位
- EL165.5m
発電。[2]
高さ13.791m×幅9.200m。[1]
F目的を示す値ではありません。[1]
設備の存在から洪水調節目的や洪水調節容量を推測していません。
高津戸発電所の運転開始月の公式表記差
渡良瀬発電事務所の個別ページは1973年7月、2025年更新の企業局発電所一覧表は1973年6月と記載しています。[3][5]
1973年運転開始という共通部分を基本にし、月の差は資料差としてそのまま掲載しています。
高津戸調整池の容量を読み分ける
総貯水容量808,000m³、有効貯水容量530,000m³、堆砂容量92,000m³が公表されています。[1]
- 総貯水容量
- 808,000m³
- 有効貯水容量
- 530,000m³
- 堆砂容量
- 92,000m³
調整池全体の公表容量。[1][2]
発電用水の調整に利用する範囲に関する公表値。[1]
総容量との差の残りを別用途と推定していません。[1]
現在の県営電気事業と管理体制
群馬県企業局は2025年10月時点で水力34・太陽光3の計37発電所を運転し、渡良瀬発電事務所は土木・電気双方の保守管理と運転操作を担当しています。[8][9]
37という数は企業局全体の発電所数で、高津戸ダム単独の設備数ではありません。
よくある質問
高津戸ダムは何のためのダムですか?
群馬県の正式目的はP(発電)のみです。東発電所・小平発電所のピーク発電流量を調整し、高津戸発電所を流量一定で運転する役割を担います。[1][2][3]
洪水吐があるなら洪水調節ダムですか?
正式目的はPのみです。洪水吐4門や予備放流水位があっても、それだけを根拠にF目的とはしていません。[1][2]
高津戸発電所の出力はどのくらいですか?
最大出力5,300kW、最大使用水量30m³/sのダム式発電所です。[3][5]
小平発電所との関係は?
小平発電所は最大36,200kWで、企業局最大出力の水力発電所です。東発電所と小平発電所のピーク流量を高津戸ダムで調整して高津戸発電所で発電します。[3][4][10]
高津戸発電所は1973年6月開始ですか、7月開始ですか?
群馬県公式内で表記が異なります。発電所一覧表は6月、個別紹介ページは7月です。理由を確認できないため両表記を残しています。[3][5]
高津戸発電所を見学できますか?
群馬県企業局の現行見学案内で、高津戸発電所は見学対象です。窓口は渡良瀬発電事務所です。[6]
高津戸ダムの内部も見学できますか?
現行の県「ダム堤体見学」対象一覧には高津戸ダムが掲載されていません。発電所見学とダム内部見学を同じ制度とは扱っていません。[7]
ダムカードはどこでもらえますか?
渡良瀬発電事務所で平日9:00~16:00に、来訪者1名につき1枚配布されています。[1]
高津戸ダムを理解するための要点
本ページでは、高津戸ダムを群馬県・みどり市のダムとして記録しています。以下は掲載資料から確認できる基本情報です。
- 記録上の所在地
- 群馬県みどり市大間々町高津戸(高津戸ダム)
- 施設種別
- ダム
- 年代・供用状況
- 1973年度完成/高津戸発電所は公式資料に1973年6月・7月の両表記あり
- 形式・構造
- 重力式コンクリートダム
- 公表された貯水容量等
- 総貯水容量808,000m³/有効貯水容量530,000m³
ダム・貯水施設の目的と役割
ダム・貯水施設の目的は、治水、発電、農業用水、工業用水、上水道など施設によって異なります。用途を一律に上水道とせず、対象施設の目的・容量・管理者を出典で確認してください。 この一般的な役割と、上記の調査本文に記載したこの施設固有の歴史・構造を分けてご覧ください。
見学・現地確認について
掲載上の見学情報は「ダムカードは渡良瀬発電事務所で平日9:00~16:00に配布。高津戸発電所は県営発電施設見学の対象だが、現行の県「ダム堤体見学」対象一覧に高津戸ダムはないため、ダム内部見学可とは案内しない」です。公開日、受付方法、見学可能範囲は変更されることがあります。訪問前に管理者や自治体の最新案内を確認し、現地では指定された見学経路に従ってください。
掲載内容はページ末尾の出典・参考資料10件を基に整理しています。資料間で表記が異なる場合は、自治体・管理者の案内を優先してください。
所在地マップ
群馬県みどり市大間々町高津戸(高津戸ダム)
地図は公開住所をもとに検索表示しています。施設の管理区域には立ち入らないでください。
地図検索:公開住所による地図検索 ↗関連タグ
出典・参考資料
- 1群馬県 企業局発電課「高津戸ダム」現行諸元・設備・ダムカード↗
- 2群馬県 地域創生課「群馬県内のダム一覧」目的・完成年度・主要諸元↗
- 3群馬県 企業局発電課「渡良瀬発電事務所管内の発電所(2)」高津戸発電所↗
- 4群馬県 企業局発電課「渡良瀬発電事務所管内の発電所(1)」東・小平・東第二発電所↗
- 5群馬県 企業局発電課「群馬県企業局(電気事業)の発電所一覧表」↗
- 6群馬県 企業局「企業局施設の見学案内」高津戸発電所↗
- 7群馬県 河川課「ダムカードの配布及びダム堤体見学のお知らせ」↗
- 8群馬県 企業局発電課「電気事業」現行の発電所数・ダムカードVer.3.0↗
- 9群馬県「渡良瀬発電事務所」現行の組織・業務↗
- 10群馬県 企業局発電課「発電所Q&A」県営最大の水力発電所↗
年代・出典の扱いと現役施設を確認するときの注意はアーカイブの読み方・見学ガイドにまとめています。