ダム見学可

小河内ダム

奥多摩湖に東京の独自水源を蓄え、発電を経て小作・羽村取水堰へ水を送る水道専用ダム

東京都奥多摩町の多摩川上流にある東京都水道局の水道専用ダム。1957年完成、堤高149m、有効貯水量1億8,540万m³。奥多摩湖に蓄えた水は多摩川第一発電所で発電後、小作・羽村取水堰から水道原水として取り入れられ、東京の安定給水を支える。

年代・現況1938年11月12日起工/1957年11月26日完成
所在地奥多摩町
形式・構造非越流型直線重力式コンクリートダム
見学堤体上の通行は2026年9月10日に解除…

東京の独自水源を支える大規模な水道専用ダム

小河内ダムは、東京都西多摩郡奥多摩町原5番地、多摩川上流にある東京都水道局のダムです。貯水池は奥多摩湖(小河内貯水池)で、東京都水道局は「我が国最大級の水道専用貯水池」と位置付けています。堤体は非越流型直線重力式コンクリートダム、堤高149m、堤頂長353m、有効貯水量185,400,000m³です。[1][2][3]

堤頂道路部の標高は530m、流域面積は約262.9km²、満水面積は4.25km²、有効水深は101.5mです。東京都交通局の2025年4月1日時点施設資料には総貯水量189,100,000m³も掲載されていますが、東京都水道局が通常案内する185,400,000m³は「有効貯水量」であり、同じ指標ではありません。[1][6]

1932年の計画から戦争中断を経て1957年に完成

小河内貯水池の計画は、将来の東京の人口増加と水需要に備える第二水道拡張事業の中で進められました。1932年に建設計画が議決され、水利調整や用地取得を経て1938年11月12日に起工式を実施しました。しかし戦局の悪化により1943年10月5日に工事を中止し、戦後の1948年9月に再開しています。[1][14]

1953年3月に定礎式とダムコンクリート打設が始まり、1957年7月までに1,675,680m³のコンクリートを打設しました。1957年11月26日に完成するまで19年余りを要し、総工費は約150億円、移転は945世帯、工事では87名が亡くなったことを水道局が記録しています。完成年だけではなく、地域移転と工事犠牲を含む建設史として記録する必要があります。[1][4][14]

発電を経て小作・羽村取水堰から東京の水道へ

奥多摩湖に貯めた水は、ダム直下の多摩川第一発電所で発電に使われた後、多摩川へ放流されます。発電所は1957年12月に運転を開始した東京都交通局の水力発電所で、最大出力19,000kW、最大使用水量21.50m³/s、最大有効落差106.74mです。[5][6]

発電後の水は下流約34kmの小作取水堰、約36kmの羽村取水堰で水道原水として取水されます。その後、自然流下で村山・山口貯水池、玉川上水路などを経て東村山・境浄水場へ、導水ポンプにより小作浄水場へ送られます。東村山浄水場からは原水連絡管を通して朝霞・三園浄水場にも送ることができます。[1][2]

多摩川水系と水道水源林を一体で守る

小河内ダムの集水域は奥多摩町だけでなく、山梨県の丹波山村、小菅村、甲州市にも広がります。面積は約263km²で、水道局はこのうち約60%を東京都の水源林が占めると説明しています。ダムだけで水源が成立するのではなく、上流森林の保全、河川、貯水池、取水堰、浄水場までを一つの水源系統として管理しています。[1][13]

現在の東京都は利根川・荒川系を主力とし、多摩川系の水源は都の水源の約20%です。それでも小河内ダムは東京都が独自に運用できる水源として、他水系の渇水や水質事故時に放流量を増やせる重要なバックアップ機能を持ちます。水道局は利根川・荒川系と多摩川系の原水を相互融通し、平常時から効率的に運用しています。[1][4]

水道専用ダムでも洪水対策に協力する

小河内ダムの主目的は水道用水ですが、2020年5月27日に多摩川水系治水協定が締結され、洪水対策にも協力しています。上流の48時間予想雨量が450mmを超える場合、最大3日前から事前放流を行い、水位を低下させます。水道局は条件を仮定した最大の洪水調節可能容量を35,580,000m³としています。[7]

大雨時には余水吐から放流する場合があり、その際はサイレン、周知立札、職員パトロールで下流利用者へ警告します。サイレンは50秒吹鳴・10秒休止を5回繰り返す方式です。2024年8月の台風10号対応では、余水吐放流と発電放流を合わせて最大150m³/s程度を見込む運用が公表されました。これは特定時点の防災操作例であり、通常の放流量ではありません。[8][16]

表層・中層放流と貯水池の水質管理

小河内貯水池では、下流河川への冷水影響を抑えるため、季節に応じて放流水の層を変える運用が行われています。水質管理に関する東京都水道局の技術資料では、4~11月は表層放流、12~3月は中層放流を基本とする冷水対策が示されています。1992年7月には冷水対策用施設が完成しました。[3][15]

貯水池では水質観測船や湖面清掃船なども使い、採水・観測、流木・ごみの回収、施設点検を行います。水位や貯水量は変動するため、本記事では固定的な「最新貯水率」を転載せず、施設諸元と運用データを区別します。[1][15]

堤体・展望塔・水と緑のふれあい館を見学する

2026年8月14日、隣接する原石山からの落石により堤体上、展望塔、いこいの路の一部が一時閉鎖されました。東京都水道局の2026年度トピックス一覧では9月10日に「小河内ダム堤体上の通行止め解除について」が掲載され、現在の小河内ダム公式ページも解除案内への導線を掲出しています。訪問時は一時的な規制が再発していないか最新情報を確認してください。[11][12]

ダムカードは奥多摩 水と緑のふれあい館、小河内ダム展望塔、小河内ダム入口守衛室で配布されています。ふれあい館は1998年に開館し、2025年3月24日に一部展示室をリニューアルして再開しました。公共交通ではJR奥多摩駅前からバス約20分、「奥多摩湖」下車すぐです。周辺施設の開館時間・休館日と、ダム管理区域への立入条件は別に確認する必要があります。[1][9][10]

Deep research

東京都水道局の現行施設案内、東京水道名所、水源施設資料、東京近代水道125年史、東京都交通局の発電所資料、2026年9月の通行情報を照合しました。施設容量と変動する貯水量、ダム完成と発電所運転開始、水道目的と洪水対策協力を区別しています。[1][2][5][11][14]

最終確認:2026-09-15

施設データを詳しく見る

堤高・堤頂長
149m/353m

非越流型直線重力式コンクリートダム。[1][3]

有効貯水量
185,400,000m³

東京都水道局が水源施設として公表する利用可能な貯水量。[1][3]

総貯水量
189,100,000m³

東京都交通局の2025年4月1日時点施設表。発電側資料の総貯水量。[6]

流域面積
262.9km²

奥多摩町・丹波山村・小菅村・甲州市にまたがる。[1]

満水面積・満水周長
4.25km²/45.37km

奥多摩湖の公表諸元。[1][15]

コンクリート体積
約1,676,000m³

完成までに打設した量は1,675,680m³。[1][6]

奥多摩湖から発電・取水・浄水へ続く水の流れ

  1. 1

    多摩川上流域の雨雪を集める

    丹波川、小菅川などから、約263km²の集水域に降った雨雪が奥多摩湖へ流入します。集水域の約60%は東京都の水源林です。[1][13]

  2. 2

    小河内貯水池に貯留

    有効貯水量185,400,000m³の水道専用貯水池として、多摩川系の水を蓄えます。[2][3]

  3. 3

    発電用取水管へ

    通常は発電用取水管を経由してダム直下の多摩川第一発電所へ送水します。発電所側の最大使用水量は21.50m³/sです。[5][15]

  4. 4

    多摩川第一発電所で発電

    最大出力19,000kWの水力発電を行い、その後の水を多摩川へ放流します。[5][6]

  5. 5

    小作・羽村取水堰で取水

    下流約34kmの小作取水堰と約36kmの羽村取水堰で、水道原水として取り入れます。[1][2]

  6. 6

    貯水池・水路を経由して浄水場へ

    自然流下で村山・山口貯水池や玉川上水路を経て東村山・境浄水場へ、導水ポンプで小作浄水場へ送ります。[1]

  7. 7

    原水連絡で他系統へ融通

    東村山浄水場から原水連絡管により朝霞・三園浄水場へも送水でき、利根川・荒川系との相互融通に使われます。[1][4]

小河内ダムと奥多摩湖の年表

  1. 建設計画を議決

    東京の将来水源確保を目的に小河内貯水池建設計画が進められました。[14]

  2. 起工式

    水利調整や用地取得を経て本格工事に入りました。[1]

  3. 戦争のため工事中止

    戦局悪化により工事を一時中断しました。[1]

  4. 工事再開

    戦後に建設事務所を再開し、用地・補償調整とともに工事を再開しました。[1][14]

  5. 定礎・コンクリート打設開始

    ダム本体のコンクリート施工が本格化しました。[14]

  6. ダムコンクリート打設完了

    最終的に1,675,680m³のコンクリートを打設しました。[1]

  7. 小河内ダム完成

    19年余りの工事を経て完成しました。[1][4]

  8. 多摩川第一発電所運転開始

    小河内貯水池の水を利用する発電所が運転を開始しました。[5][6]

  9. 最初の満水位

    1957年からの貯水を経て、初めて満水位に到達しました。[15]

  10. 冷水対策用施設完成

    夏期に表層水を放流するための設備を整え、下流への冷水影響を抑える運用を強化しました。[3][15]

  11. 多摩川水系治水協定を締結

    水道専用ダムとしての運用を維持しつつ、事前放流による洪水対策協力を開始しました。[7]

  12. 水と緑のふれあい館をリニューアル再開

    一部展示室を更新し、360度シアターなどを導入しました。[10]

  13. 落石による一時通行規制と解除

    原石山からの落石で堤体上等を一時閉鎖し、9月10日に解除告知が掲載されました。[11][12]

見学・アクセス情報

2026年8月には落石に伴う一時閉鎖があり、9月10日に堤体上通行止め解除が告知されました。山間部の施設なので、訪問前に通行情報、展望塔、浮橋、いこいの路の最新状況を確認してください。[1][11][12]

所在地
東京都西多摩郡奥多摩町原5番地

小河内ダム堤体の所在地。[1]

公共交通
JR奥多摩駅からバス約20分

「奥多摩湖」バス停下車。ふれあい館はバス停からすぐ。[2][9]

駐車場
周辺に無料駐車場あり

東京水道名所の基本情報。[2]

ダムカード:ふれあい館
9:30~17:00

水曜(祝日の場合は翌日)・年末年始は休館。[1]

ダムカード:展望塔
10:00~16:00

年末年始休館。臨時閉鎖情報も確認。[1][12]

ダムカード:入口守衛室
8:30~17:00

郵送配布は行っていません。[1]

堤体上の通行
2026年9月10日に解除告知

2026年8月14日からの落石による規制。今後の臨時規制は最新情報を確認。[11][12]

問い合わせ
0428-86-2211

東京都水道局 小河内貯水池管理事務所。[1][12]

見学目的でも門・柵・管理区域を越えず、管理者が案内する公開条件と指定経路に従ってください。

水道専用ダムの洪水対策協力

2020年5月27日協定締結以降

小河内ダムは水道用水を主目的としつつ、多摩川水系治水協定に基づき予測降雨時の事前放流へ協力します。[7]

基準降雨量
48時間450mm

上流域の予測雨量が基準以上の場合に事前放流を検討。[7]

事前放流開始
最大3日前

予測に基づき水位を下げます。[7]

洪水調節可能容量
最大35,580,000m³

各種条件を仮定して算出した最大値。[7]

警報サイレン
50秒吹鳴+10秒休止×5回

余水吐放流時の警告方式。[8]

2024年8月の余水吐放流は具体的な運用例であり、150m³/sは通常時の放流量ではありません。[16]

多摩川第一発電所との関係

2025年4月1日時点諸元

運転開始
1957年12月22日

小河内ダム完成の翌月。[5][6]

最大出力
19,000kW

東京都交通局の水力発電所。[5]

最大使用水量
21.50m³/s

発電用取水の最大値。[5][6]

最大有効落差
106.74m

ダム堤高149mとは別の設備指標。[5]

下流環境に配慮した放流管理

冷水対策施設は1992年7月完成

中層の冷たい水だけを流し続けることによる下流河川への影響を抑えるため、季節に応じた放流層の使い分けが行われています。[3][15]

4~11月
表層放流

暖かい表層水を利用する冷水対策。[15]

12~3月
中層放流

季節に応じた放流運用。[15]

満水位標高
526.5m

堤頂標高530mとは別の値。[15]

最大水深
142.5m

有効水深101.5mとも区別する。[15]

よくある質問

小河内ダムは何のためのダムですか?

主目的は東京都の水道用水確保です。奥多摩湖に水を蓄え、多摩川第一発電所での発電を経て小作・羽村取水堰から水道原水として取り入れます。[1][2][5]

奥多摩湖と小河内貯水池は同じですか?

同じ貯水池です。正式な施設名として小河内貯水池が使われ、一般には奥多摩湖の名称で知られています。[1][2]

有効貯水量185,400,000m³と総貯水量189,100,000m³はどちらが正しいですか?

両方とも公式資料にある別指標です。東京都水道局は有効貯水量185,400,000m³、東京都交通局の施設表は総貯水量189,100,000m³を掲載しています。[3][6]

小河内ダムの水はそのまま家庭へ送られますか?

いいえ。発電後に多摩川へ放流され、小作・羽村取水堰で取水した後、貯水池や水路を経て浄水場で処理されます。[1][2]

水道専用ダムなのに洪水調節もするのですか?

治水協定に基づく洪水対策協力を行います。一定以上の大雨が予測される場合、事前放流で一時的に空き容量を確保しますが、施設の主目的が水道用水であることは変わりません。[7]

多摩川第一発電所と小河内ダムは同じ施設ですか?

別施設です。小河内ダムは東京都水道局、多摩川第一発電所は東京都交通局が所管し、ダムの水を利用して発電しています。[5][6]

小河内ダムは現在見学できますか?

2026年8月14日の落石で一時閉鎖されましたが、東京都水道局は9月10日に堤体上通行止め解除を告知しています。展望塔や周辺歩道は臨時規制があり得るため、訪問当日の公式情報を確認してください。[11][12]

ダムカードはどこでもらえますか?

奥多摩 水と緑のふれあい館、小河内ダム展望塔、小河内ダム入口守衛室で配布されています。場所ごとに配布時間・休館日が異なり、郵送配布はありません。[1][9]

小河内ダムを理解するための要点

本ページでは、小河内ダム東京都・奥多摩町ダムとして記録しています。以下は掲載資料から確認できる基本情報です。

記録上の所在地
東京都西多摩郡奥多摩町原5番地
施設種別
ダム
年代・供用状況
1938年11月12日起工/1957年11月26日完成
形式・構造
非越流型直線重力式コンクリートダム
公表された貯水容量等
有効貯水量185,400,000m³(総貯水量189,100,000m³は交通局資料)

ダム・貯水施設の目的と役割

ダム・貯水施設の目的は、治水、発電、農業用水、工業用水、上水道など施設によって異なります。用途を一律に上水道とせず、対象施設の目的・容量・管理者を出典で確認してください。 この一般的な役割と、上記の調査本文に記載したこの施設固有の歴史・構造を分けてご覧ください。

見学・現地確認について

掲載上の見学情報は「堤体上の通行は2026年9月10日に解除告知。展望塔・水と緑のふれあい館・ダムカード配布は最新の開館・通行情報を確認」です。公開日、受付方法、見学可能範囲は変更されることがあります。訪問前に管理者や自治体の最新案内を確認し、現地では指定された見学経路に従ってください。

掲載内容はページ末尾の出典・参考資料16件を基に整理しています。資料間で表記が異なる場合は、自治体・管理者の案内を優先してください。

所在地マップ

東京都西多摩郡奥多摩町原5番地

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関連タグ

#現役施設#奥多摩湖#重力式コンクリートダム#水道専用ダム#多摩川#多摩川第一発電所#東京都水道局#ダムカード

出典・参考資料

  1. 1東京都水道局「小河内ダム」(概要・諸元・水道への流れ・歴史・ダムカード)
  2. 2東京都水道局「小河内貯水池(奥多摩湖)|東京水道名所」(水道専用貯水池・アクセス・耐震性)
  3. 3東京都水道局「水源施設」(多摩川水系施設の有効貯水容量・形式・堤高・堤頂長)
  4. 4東京都水道局「東京の水道水源」(水源構成・小河内貯水池の事業費・移転戸数)
  5. 5東京都交通局「多摩川第一発電所」(運転開始・最大出力・使用水量・有効落差)
  6. 6東京都交通局「令和7年度事業概要 第6章 電気事業」(2025年4月1日時点施設諸元)
  7. 7東京都水道局「小河内ダムの洪水対策への協力について」(多摩川水系治水協定・事前放流)
  8. 8東京都水道局「小河内ダム余水吐放流時のサイレンと周知立札」(放流警告)
  9. 9東京都水道局「奥多摩 水と緑のふれあい館」(展示・アクセス・開館案内)
  10. 10東京都水道局「奥多摩 水と緑のふれあい館 リニューアルオープンについて」(2025年3月5日)
  11. 11東京都水道局「令和8年度トピックス」(2026年9月10日の堤体上通行止め解除告知を確認)
  12. 12東京都水道局「小河内ダム堤体上の通行止めについて」(2026年8月14日、落石による一時閉鎖)
  13. 13東京都水道局 水道水源林ポータル「水源林の歴史」(1957年小河内ダム完成・水源林管理)
  14. 14東京都水道局「東京近代水道125年史」(小河内貯水池建設・補償・工事再開の経緯)
  15. 15東京都水道局「小河内貯水池の水質管理に関する調査」(放流層・冷水対策・貯水池諸元)
  16. 16東京都水道局「台風10号の影響に伴う小河内ダムからの余水吐放流について」(2024年8月30日、操作例)

年代・出典の扱いと現役施設を確認するときの注意はアーカイブの読み方・見学ガイドにまとめています。

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