建設の背景
名護市は沖縄本島北部の中心都市であり、東海岸側の東江(ひがしえ)地区は市街地の拡大とともに住宅・商業施設が集積してきた地域である。昭和45年(1970年)、名護地区の配水システム強化の一環として本給水塔が建設された。この年は本土復帰の2年前にあたり、復帰後の水道法適用を見越した施設規模・設計基準が採用されている。
施設の特徴
RC造の円筒形塔体で、塔高は約14メートル。復帰前後の過渡期に建設されたため、琉球政府期の設計基準と日本本土の水道施設基準の折衷的な構成を持っていたとされる。外壁仕上げはモルタル塗りで、台風対策として補強リブと厚肉設計が採用されていた。東江地区は海岸に近い立地であり、塩害対策が設計の重要な課題となっていた。
運用と廃止
竣工後は沖縄県企業局の管理下で運用されたが、1990年代の配水システム再編により予備施設に格下げされた。2000年代に実施された耐震診断で大規模改修が必要と判定されたものの、予算・立地条件から改修は実施されず、代替設備の整備を経て2019年(令和元年)に解体された。
記録と継承
解体に先立ち、名護市教育委員会・沖縄県企業局の協力のもとで写真測量と構造記録が実施された。完成図面(設計・竣工図)と補修工事の施工記録は名護市史編さん室に保管されており、閲覧申請が可能。沖縄戦後の都市化・水道整備の歩みを示す資料として、市史記述のなかに位置づけられている。
出典・参考資料
- 1沖縄県企業局『沖縄の水道100年史』(2013年)
- 2名護市教育委員会「東江給水塔解体前記録調査報告」(2019年)
- 3名護市史編集委員会『名護市史 近現代編』(2012年)
- 4日本水道協会「近代水道遺産データベース」↗
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