疏水施設現存

鴨川運河

1894年完成、鴨川沿いから伏見へ約9kmを結ぶ第1琵琶湖疏水の運河区間

第1琵琶湖疏水のうち、鴨東運河の鴨川合流点から京都市伏見区堀詰町へ至る約9kmの運河区間。1892年に着工し1894年に完成、琵琶湖から京都・伏見を経て大阪方面へつながる舟運に役立った。現在も水路として維持され、1988年の改築による暗渠区間と旧閘門・橋梁の歴史を残す。

年代・現況1890年6月起工許可、1892年11月着工、1894年9月完成(第1疏水の大津~鴨川間完成は1890年)
所在地京都市
構造・形式第1疏水の約9kmの運河区間。開水路・暗渠・橋梁・旧閘門・伏見インクライン関連設備などを含む歴史的な水運路
見学京都市の公式散策案内にある公共の歩道から…

鴨東運河の鴨川合流点から伏見へ

鴨川運河は、第1琵琶湖疏水のうち鴨東運河が鴨川へ合流する地点から京都市伏見区堀詰町までの、約9kmの運河区間です。京都市の疏水沿線公式案内は、琵琶湖から大阪へ通じる舟運を実現するため、疏水を淀川水系へ接続する重要な区間だったと説明しています。大津~蹴上~鴨川の上流区間、伏見側で続く濠川、沿線の散策路を鴨川運河の9kmと混同しません。[1][6]

1890年の第1疏水完成から1894年の運河延伸へ

京都市の公式年表では、鴨川運河は1890(明治23)年6月に起工許可を受け、1892(明治25)年11月着工、1894(明治27)年9月に完成しました。上流側の第1疏水が1890年に完成した後の延伸事業です。第1疏水の1890年完成を鴨川運河自身の竣工年として書き換えません。京都市の疏水史は鴨川合流点から伏見への工事の完成月を1894年9月としています。[2][3]

舟運を支えた橋・閘門と伏見インクライン

運河の高低差が舟の往来を妨げないよう、京都市琵琶湖疏水記念館の歴史写真解説では水位を調節する閘門が8箇所設置されたと記録されています。記念館が公開する1912年頃の「鴨川運河平面図」には、伏見付近の水路と伏見インクラインの線路が描かれています。[7]この8箇所は建設・運用当時の歴史的設置数で、2026年に稼働する閘門の数ではありません。伏見側には1895(明治28)年完成の伏見インクラインもあり、水車を動力として高低差のある区間で舟を運びました。一般運行は1943年に中止、線路は1960年に撤去されたと京都市記念館は説明しています。[4][5]

冷泉通から塩小路・深草・伏見へ続く水路

京都市記念館によれば、冷泉通と川端通の交差点付近から始まる鴨川運河は三条通付近で暗渠となり、塩小路橋から再び開水路として姿を現します。沿線には市電稲荷停留所跡、星形の紋章を残す橋、伏見インクライン跡、伏見新放水路などがあります。伏見区上堀詰町付近で鴨川運河の区間は終わり、その先は伏見城外堀に由来する濠川へ続きます。これらの橋・施設を鴨川運河の全長に個別に加算しません。[1][4][6]

1914年の墨染発電所と水利用

伏見地区では1914(大正3)年に伏見発電所(現在の墨染発電所)が完成し、京都市記念館は現役の水力発電施設と案内しています。鴨川運河と隣接する発電・水運関連施設の一つですが、発電所の設備能力を運河自身の能力欄に代入しません。京都市は琵琶湖疏水全体が現在も水道、水力発電、かんがい、防火用水などに使われると説明していますが、運河区間固有の現行分水量・毎秒流量は確認できません。[4][9]

1931年の閘門と1978~1988年の改築

京都市の年表には1931年4月の伏見閘門完成、1978年2月の冷泉~塩小路間改築着工、1979年10月の塩小路下流改修着工、1988年3月の下流改修完了と同年4月の改築疏水通水開始が記録されています。京都市記念館は京阪本線地下化などに伴う1988年の暗渠化を説明し、暗渠内の西側に船曳ロープが設けられていると記します。新しい暗渠を1894年当初のままの構造とみなしません。[3][4][8]

現在の維持管理と水質の扱い

京都市は2026年の公式案内で、琵琶湖疏水を現役の都市基盤施設として維持管理・更新すると説明しています。また2025年12月には第1疏水の大津~伏見区堀詰町約20kmを対象に、2026年1~3月の冬期停水・浚渫予定を公表しました。これは当時の計画であり、運河区間の施工完了や恒常的な停水状態を示しません。市は水道水源を第2疏水から年間を通して取水すると明記しており、現在の水道水質検査値を鴨川運河そのものの実測値として掲載しません。[8][9][10]

運河沿いを歩く際の公開範囲と安全

京都市記念館は伏見地区の散策案内を公開し、塩小路橋から伏見インクライン跡・鋳物屋橋などの見どころを紹介しています。ただし、約9kmの運河と散策コースは別の経路で、暗渠・管理区域もあるため全線が連続した一般通行路ではありません。京都市は2026年6月の案内で、柵内への立入、遊泳、釣り、カヌー・SUP等の無許可乗艇を禁止しています。外観の見学と運河内の利用を区別してください。[1][4][9]

Deep research

京都市上下水道局の年表・疏水史、京都市琵琶湖疏水記念館の歴史写真と散策案内で、1894年の運河延伸と1988年の改築を分けて確認しました。約9kmの水路区間、第1疏水約20km、散策路を別の定義として扱います。

最終確認:2026-11-04

施設データを詳しく見る

起工許可
1890年6月

京都市の疏水年表

着工
1892年11月

大津~鴨川の第1疏水完成とは別の延伸工事

完成
1894年9月

鴨川運河の完成月

水路区間
約9km

鴨東運河の鴨川合流点~伏見区堀詰町。散策距離ではない

上流との関係
第1疏水の一部

1890年完成の上流区間からつながる

歴史的閘門
8箇所

京都市記念館の歴史写真解説による設置数。現行稼働数ではない

伏見インクライン完成
1895年

運河関連施設の個別完成年

墨染発電所完成
1914年

旧伏見発電所。運河自身の設備能力ではない

冷泉~塩小路改築通水
1988年4月

京阪地下化に伴う改築区間の通水

独立した現行導水流量
公式公開資料では確認できない

第1疏水全体の水量を転記しない

第1疏水から鴨川運河、濠川へ

  1. 1

    琵琶湖から第1疏水に取水

    琵琶湖を起点とする第1疏水を通り、京都方面へ運ばれる。

  2. 2

    大津・山科を経て蹴上へ

    第1疏水の上流区間を通過。山科疏水は鴨川運河より上流の別区間。

  3. 3

    蹴上・岡崎から鴨東運河へ

    水が京都市街地の鴨川方面に進み、鴨東運河の鴨川合流点で鴨川運河区間につながる。

  4. 4

    三条通付近の暗渠を通過

    京都市の記念館案内によれば、改築された暗渠を経て塩小路橋付近で開水路に戻る。

  5. 5

    深草・伏見の水路を南下

    橋や旧閘門、伏見インクライン跡、墨染発電所の関連施設が沿線に点在する。

  6. 6

    伏見区堀詰町から濠川へ

    鴨川運河区間は上堀詰町付近で終わり、伏見城外堀に由来する濠川へ水路が続く。

鴨川運河の建設・舟運・改築年表

  1. 鴨川運河の起工許可

    第1疏水の上流側竣工後、伏見方面への延伸に着手する準備が進む。

  2. 鴨川運河着工

    京都市公式年表に着工月を記録。

  3. 鴨川運河完成

    鴨川合流点から伏見へつながる運河区間が完成。

  4. 伏見インクライン完成

    舟を高低差のある区間で運ぶ関連施設。

  5. 伏見付近の平面図が残る

    京都市記念館の田邉家資料として鴨川運河平面図を所蔵。図面の日付は建設年ではない。

  6. 伏見発電所が完成

    現在の墨染発電所。1914年は発電所の完成年。

  7. 伏見閘門が完成

    京都市の疏水年表の記録。歴史的8閘門の全てが1931年完成という意味ではない。

  8. 伏見インクライン一般運行中止

    運河自体の全区間廃止ではない。

  9. 冷泉~塩小路間改築着工

    京都市公式年表による。

  10. 塩小路下流改修着工

    下流側の別工区の着手記録。

  11. 下流改修完了・改築疏水通水

    3月に塩小路下流改修完了、4月に冷泉~塩小路間改築疏水の通水。

  12. 京都市が疏水の立入制限を周知

    現役都市基盤の管理と水路内立入・無許可乗艇の禁止を案内。

見学・アクセス情報

京都市の「伏見さんぽ」等で案内される歩道から見学できます。運河全長は一つの歩道ではなく、暗渠や管理区域を含むため水路内には入れません。

施設の範囲
鴨川合流点付近~京都市伏見区堀詰町、約9km
散策
塩小路橋・墨染・伏見インクライン跡など公式案内の一般通行部から
立入禁止
水路内部・柵内・閉鎖管理区域
禁止行為
釣り・遊泳・許可のないカヌー・SUP等の乗艇
管理者の案内
京都市上下水道局の現行利用制限・工事情報を確認

見学目的でも門・柵・管理区域を越えず、管理者が案内する公開条件と指定経路に従ってください。

水道水源・水質の扱い

鴨川運河は疏水の一部であって浄水処理施設ではありません。京都市は第2疏水から通年水道原水を取水すると公表しています。水道水や琵琶湖南湖の検査結果を鴨川運河の独立した水質値とみなさず、施設固有の現行流量も不詳とします。[9][10]

よくある質問

鴨川運河はどこからどこまでですか?

第1疏水の鴨東運河の鴨川合流点から伏見区堀詰町まで、約9kmの区間です。

いつ完成しましたか?

1892年11月に着工、1894年9月に完成しました。1890年は上流側第1疏水の完成時期です。

鴨川運河の長さは何kmですか?

日本遺産・琵琶湖疏水の公式案内では約9kmです。第1疏水全体や散策コースの距離とは異なります。

舟はどうやって高低差を越えましたか?

歴史的には水位を調節する8箇所の閘門や、伏見インクラインなどを利用しました。現在の運航設備数を示すものではありません。

伏見インクラインは今も動いていますか?

いいえ。一般運行は1943年に中止され、京都市記念館は1960年に線路が撤去されたと説明しています。

途中で水路が見えなくなるのはなぜですか?

京阪本線の地下化等に伴う1988年の改築で三条通付近が暗渠になり、塩小路橋付近で再び開水路になります。

南側の終点より先も鴨川運河ですか?

京都市記念館によれば伏見区上堀詰町の先は伏見城外堀に由来する濠川です。

鴨川運河は国宝に指定されていますか?

琵琶湖疏水の個別関連施設には文化財指定がありますが、約9kmの鴨川運河全体が国宝指定されたという公式根拠は確認できません。

運河沿いを散歩できますか?

京都市記念館は公開された伏見散策コースを案内しています。ただし暗渠・管理区域があり、約9km全線の歩行を保証するものではありません。

運河で釣りやカヌーはできますか?

いいえ。京都市は2026年6月に釣り・遊泳・許可のない乗艇と柵内立入の禁止を周知しています。

鴨川運河を理解するための要点

本ページでは、鴨川運河を京都府・京都市の疏水施設として記録しています。以下は掲載資料から確認できる基本情報です。

記録上の所在地
京都府京都市左京区の鴨川合流点付近~伏見区堀詰町(線状施設。単一の所在地番なし)
施設種別
疏水施設
年代・供用状況
1890年6月起工許可、1892年11月着工、1894年9月完成(第1疏水の大津~鴨川間完成は1890年)
構造・形式
第1疏水の約9kmの運河区間。開水路・暗渠・橋梁・旧閘門・伏見インクライン関連設備などを含む歴史的な水運路
能力・規模
全長約9km(鴨東運河の鴨川合流点~伏見区堀詰町)。設計流量と現行流量の施設単独値は不詳

施設の機能と地域での役割

水路・隧道・水路橋などは、水を運ぶ経路や関連設備です。用途は施設によって異なるため、上水道だけに限定せず、送水先や地域での役割を本文で確認してください。 この一般的な役割と、上記の調査本文に記載したこの施設固有の歴史・構造を分けてご覧ください。

見学・現地確認について

掲載上の見学情報は「京都市の公式散策案内にある公共の歩道から水路沿いを歩けるが、運河内部・柵内への立入、釣り、遊泳、無許可の乗艇は禁止。全区間連続通行を保証しない」です。現況や公開条件は変更されることがあります。訪問前に管理者や自治体の最新案内を確認し、施設の管理区域や私有地には立ち入らないでください。

掲載内容はページ末尾の出典・参考資料10件を基に整理しています。資料間で表記が異なる場合は、自治体・管理者の案内を優先してください。

所在地マップ

京都府京都市左京区の鴨川合流点付近~伏見区堀詰町(線状施設。単一の所在地番なし)

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関連タグ

#京都市上下水道局#琵琶湖疏水#第1疏水#鴨川運河#伏見#運河#閘門#伏見インクライン#墨染発電所#舟運#近代土木#現存

出典・参考資料

  1. 1日本遺産・琵琶湖疏水「鴨川運河」(鴨東運河合流点~伏見区堀詰町、全長約9km、舟運の役割)↗本文に戻る ↑
  2. 2京都市上下水道局「琵琶湖疏水の歴史(2)」(1892年11月着工、1894年9月完成の本線延伸)↗本文に戻る ↑
  3. 3京都市上下水道局「琵琶湖疏水のご紹介・年表」(1890年の起工許可、1894年完成、1978~1988年改築)↗本文に戻る ↑
  4. 4京都市琵琶湖疏水記念館「疏水さんぽ・伏見さんぽ」(暗渠・船曳ロープ・橋の紋章・伏見インクライン・墨染発電所)↗本文に戻る ↑
  5. 5京都市琵琶湖疏水記念館「鴨川運河 孫橋閘門」(舟の水位差を調整する閘門8箇所の歴史資料)↗本文に戻る ↑
  6. 6京都市琵琶湖疏水記念館「鴨川運河終点 伏見区上堀詰町」(濠川との境界)↗本文に戻る ↑
  7. 7京都市琵琶湖疏水記念館「鴨川運河平面図」(1912年頃の伏見付近の歴史図面)↗本文に戻る ↑
  8. 8京都市上下水道局「琵琶湖疏水の歴史(5)」(伏見地区改修・京阪地下化と流量監視の広域化)↗本文に戻る ↑
  9. 9京都市上下水道局「琵琶湖疏水を大切に守りましょう」(2026年6月時点の水路安全・立入禁止)↗本文に戻る ↑
  10. 10京都市上下水道局「第1疏水の停水・土砂浚渫」(2025年12月公表の2026年冬期予定・水道水源の区分)↗本文に戻る ↑

年代・出典の扱いと現役施設を確認するときの注意はアーカイブの読み方・見学ガイドにまとめています。