ダム現存

相模ダム

1947年に完成し相模湖を形成する神奈川県営の重力式コンクリートダム。水道用水・工業用水・発電を支え、相模発電所へ送水する。老朽化した放流設備と下流河道を更新する長期リニューアル工事、堆砂対策を運用と並行して進めている。

年代・現況1947年6月14日竣工式/同年7月洪水吐ゲート完成
所在地相模原市緑区
形式・構造重力式コンクリートダム・ローラーゲート5門
見学リニューアル工事のため堤体上の管理橋(築…

1947年完成、相模湖をつくる県営ダム

相模ダムは相模川本川にある神奈川県営の重力式コンクリートダムです。左岸は相模原市緑区与瀬、右岸は若柳で、貯水池は相模湖です。現行諸元は堤高58.4m、堤頂長196.0m、総貯水容量63,200,000m³、有効貯水容量48,200,000m³、常時満水位は標高167.0mです。施設の目的は水道用水、工業用水、発電であり、貯水容量は現在の貯水量ではありません。[1]

現在の施設ページでは洪水吐ゲートを5門すべてローラーゲートとし、1門あたりの重量を60tとしています。相模発電所へ水を送る取水口には別に2門のゲートがあり、ダムカード等で示される洪水吐ゲート数には含まれません。[1]

相模川河水統制事業と戦中・戦後をまたいだ建設

相模川河水統制事業は、京浜工業地帯の発展や人口増加による水道・工業用水・電力需要、食料増産に向けた農業用水需要を背景に1938年に計画されました。県はこれを全国に先駆けた広域的な水資源開発事業として位置付けています。[2][5]

1940年11月25日に起工式が行われ、1944年12月21日に相模貯水池の湛水を開始、1945年1月20日に満水位へ到達しました。1945年2月には相模発電所1台目が発電を開始し、1947年6月14日に河水統制事業の竣工式、同年7月に洪水吐ゲートが完成しました。戦時中の資材・労働力不足と戦後の混乱をまたいだ事業であり、「1947年完成」だけでは建設・湛水・発電開始の時期を表し切れません。[2][3]

相模湖から相模発電所、沼本ダムへ続く水利用

相模湖の水はダムの発電用取水口から相模発電所へ送られます。相模発電所は最大出力31,000kW、最大使用水量85.0m³/s、有効落差43.5mのダム式発電所で、発電後の水は下流へ放流されます。[1][4]

発電後の水を水道原水として安定的に取水するために設けられたのが沼本ダム・沼本調整池です。相模川河水統制事業では、ダム貯留、発電、下流での水道利用を一体として整備しました。横浜市水道への分水は1949年、川崎市水道への分水は1952年に始まったと県の70年史は説明しています。[2][3][5]

5門の洪水吐と発電用取水口は役割が違う

洪水吐の5門は放流のための設備で、各門に巻上機があります。通常のゲート操作は管理事務所の情報管理室から行い、完全閉鎖時には巻上機建屋で異常の有無を確認する運用が紹介されています。[1]

一方、発電用取水口の2門は相模湖から相模発電所へ送る水量を調整し、発電所点検時などに送水を止めるための設備です。洪水吐、発電用取水口、相模発電所を同じゲート設備として数えないことが施設理解のポイントです。[1][4]

相模湖の堆砂と水質を長期的に維持する

相模貯水池は湛水開始から70年以上が経過し、上流から流入する土砂の堆積が進んでいます。県は上流域の災害防止と有効貯水容量の維持を目的に、2020年度から2029年度まで相模貯水池堆砂対策事業を実施し、年間15万m³を目標にしゅんせつしています。[9]

水質面では、富栄養化によるアオコ対策として1988年度からエアレーション設備の導入が始まり、その後増設されました。県資料では合計8基でアオコ発生を抑制し、2013~2016年度には一部を間欠式から散気管式へ改良したとしています。ダム本体の更新とは別の、貯水池を維持する取組です。[10]

2042年度まで続く相模ダムリニューアル

相模ダムでは、老朽化したゲート、ピア、開閉装置などの放流施設を更新し、長年の放流で洗掘・浸食が進んだ下流河道を保護するリニューアル事業が進行しています。県は堤体そのものについては十分な強度と健全性を確認する一方、ピアやゲート設備は更新が必要と説明しています。[7]

事業の概算工事費は約420億円で、本体工事期間は2024年度から2042年度までです。第1期の下流施設工事は2024年9月27日から2028年9月29日までの契約で、新たな副ダム等を構築します。2026年7月時点では下流側から仮桟橋を延伸する工事状況が公表されています。[7][8]

リニューアルでは通常のダム運用を継続しながら設備を更新する考え方が採られています。また、2020年の相模川水系治水協定を受け、事前放流を強化する検討も事業計画に組み込まれています。[7][15]

現在の見学は管理橋通行止めを前提にする

相模ダム堤体上の管理橋「築井大橋」と前後の通路は、リニューアル工事等のため2025年4月1日から2043年3月予定まで通行止めです。歩行者も国道412号の相模湖大橋へ迂回するよう案内されています。したがって、過去の「堤体上を自由に歩ける」という案内を現在の通常条件として扱いません。[14]

外観は相模湖大橋などの公開地点から確認できます。県の撮影スポット案内では、相模湖大橋は相模ダムから徒歩約3分、相模湖駅から徒歩約15分とされています。ダムカードは相模川水系ダム管理事務所の相模ダム管理部・建設部(与瀬239)で平日9時~17時に配布されています。[11][12]

2026年10月4日に予定される第29回相模湖ダム祭では、10時~16時にダム堤体道路をイベントとして開放し、リニューアル工事現場の見学も予定されています。これは通常の公開条件とは別の一日限りの行事で、相模発電所内部の見学はできません。[13]

Deep research

神奈川県の現行施設ページ、相模川河水統制事業、相模ダムリニューアル、堆砂対策、相模発電所、公開・ダムカード案内を照合しました。完成、湛水、発電開始、分水開始、更新工事は別の出来事として整理し、工事中の公開条件も2026年9月15日時点の案内を優先しています。[1][2][3][7][9][11][14]

最終確認:2026-09-15

施設データを詳しく見る

堤高・堤頂長
58.4m/196.0m

重力式コンクリートダムの現行諸元。[1]

総貯水容量
63,200,000m³

現在の貯水量ではなく施設容量。[1]

有効貯水容量
48,200,000m³

利用可能な容量として公表される値。[1]

集水面積・湛水面積
1,016km²/3.26km²

相模川上流域と相模湖の公表諸元。[1]

常時満水位・利用水深
標高167.0m/22m

堤高とは別の指標。[1]

洪水吐ゲート
ローラーゲート5門・各約60t

発電用取水口の2門はこの数に含まれない。[1]

相模湖から発電・水道利用へ続く水の流れ

  1. 1

    相模川上流から流入

    相模川上流域から流入した水を相模ダムでせき止め、相模湖に貯留します。集水面積は1,016km²です。[1]

  2. 2

    相模湖に貯留

    総貯水容量63,200,000m³、有効貯水容量48,200,000m³の貯水池として水道・工業用水・発電を支えます。[1]

  3. 3

    発電用取水口から送水

    発電用取水口の2門で水量を調整し、相模発電所へ水を送ります。洪水吐5門とは別設備です。[1]

  4. 4

    相模発電所で発電

    最大出力31,000kW、最大使用水量85.0m³/s、有効落差43.5mのダム式発電所で発電します。[4]

  5. 5

    発電後の水を下流へ

    発電後の水は下流へ放流され、沼本ダム・沼本調整池で水道原水を安定的に取水できるよう調整されます。[2][5]

  6. 6

    水道用水として利用

    相模湖の水は河水統制事業の水源として県営水道、横浜市、川崎市などの水利用につながってきました。分水開始年は事業者ごとに異なります。[3][5]

相模ダムと相模湖の年表

  1. 相模川河水統制事業を計画

    水道・工業用水・電力需要などを背景に事業が計画されました。[2][5]

  2. 起工式

    与瀬地内で起工式を行い、相模ダム等の建設段階に入りました。[3]

  3. 相模貯水池の湛水開始

    相模湖となる貯水池で湛水を開始しました。[3]

  4. 満水位に到達

    湛水開始から約1か月後に満水位へ到達しました。[3]

  5. 相模発電所1台目が発電開始

    ダム完成式より前に相模発電所の1台目が発電を始めました。[3][6]

  6. 「相模湖」命名式

    貯水池に相模湖の名称が付けられました。[3]

  7. 河水統制事業竣工式

    相模ダム湖畔で竣工式が行われました。[3]

  8. 洪水吐ゲート完成

    洪水吐ゲートが完成し、相模ダムの主要放流設備が整いました。[3]

  9. 横浜・川崎への分水開始

    横浜市水道は1949年、川崎市水道は1952年に相模湖の水の分水を開始しました。[3]

  10. 河水統制第1次増強事業完成

    企業庁年表では相模ダム2m嵩上げ完成を1961年と記録しています。[6]

  11. 相模貯水池堆砂対策事業開始

    2029年度までの計画で、年間15万m³を目標にしゅんせつを進めています。[9]

  12. リニューアル本体工事

    放流設備更新と下流河道保護を中心とする長期工事を、通常運用を続けながら進めています。[7][8]

見学・アクセス情報

相模ダムはリニューアル工事中で、通常時の公開条件が過去と変わっています。堤体上の管理橋通行止めと、相模湖大橋などからの外観見学、イベント時の臨時開放を分けて確認してください。[12][13][14]

管理橋(築井大橋)
2025年4月1日~2043年3月予定で通行止め

歩行者も国道412号・相模湖大橋へ迂回。[14]

相模湖大橋からの外観
相模ダムから徒歩約3分

相模湖駅から徒歩約15分の撮影地点。[12]

下流側撮影地点
相模ダムから徒歩約20分

国道20号沿いの下流左岸側から背面を確認できる地点。[12]

相模ダムカード
平日9:00~17:00

相模川水系ダム管理事務所 相模ダム管理部・建設部、与瀬239。土日祝・年末年始は配布なし。[11]

2026年相模湖ダム祭
2026年10月4日 10:00~16:00

堤体道路をイベントとして臨時開放。通常公開とは別。[13]

リニューアル現場見学
ダム祭で実施予定

当日受付。工事現場は稼働停止状態での案内。[13]

相模発電所内部
ダム祭でも内部見学なし

パネル展示と施設説明は別途予定。[13]

相模ダム管理部
042-684-3521

施設・周辺状況の問い合わせ先として県が案内。[9][12]

見学目的でも門・柵・管理区域を越えず、管理者が案内する公開条件と指定経路に従ってください。

相模貯水池の堆砂対策

2020~2029年度の10年間計画

上流域の浸水災害防止と有効貯水容量の維持を目的に、水道事業者・電気事業者・河川管理者が共同で実施しています。[9]

しゅんせつ目標
年間15万m³

水中掘削、陸揚げ、運搬、処理を継続。[9]

事業期間
2020~2029年度

10年間。5年目を目途に計画点検予定。[9]

通常作業時間
8:30~12:00/13:00~17:00

土日祝を除く。応急作業等は例外あり。[9]

優先実施範囲
勝瀬橋上流~桂川橋下流・沢井川・秋山川

相模湖上流部を中心とする。[9]

堆砂量そのものをこの目標値から推計していません。年間15万m³は対策のしゅんせつ目標です。[9]

相模ダムリニューアル事業

本体工事:2024~2042年度

概算工事費
約420億円(税込)

2026年1月更新の事業ページ掲載値。[7]

本体工事期間
2024~2042年度

調査・検討は2019~2023年度。[7]

第1期下流施設工事
2024年9月27日~2028年9月29日

新たな副ダム等を構築。[7]

主な更新対象
ゲート・ピア・開閉装置・下流河道

堤体は健全性を確認しつつ、周辺設備を更新。[7]

工事期間中も水道用原水と電力の安定供給を維持する前提で事業が進められています。[7]

相模湖の水質浄化設備

1988年度導入開始/2013~2016年度一部改良

エアレーション設備
合計8基

アオコ発生抑制を目的に増設。[10]

導入開始
1988年度

間欠式空気揚水筒1基から効果を調査。[10]

増設
1991年度3基・1992年度4基

合計8基となった経緯。[10]

方式改良
2013~2016年度に毎年1基

一部を間欠式から散気管式へ改良。[10]

よくある質問

相模ダムは何のためのダムですか?

現行の県資料では水道用水、工業用水、発電を目的とする重力式コンクリートダムです。相模川河水統制事業の基幹施設として整備されました。[1][2]

相模ダムと相模発電所は同じ施設ですか?

別施設です。相模ダムが相模湖に水を貯め、発電用取水口から相模発電所へ送水します。発電所の最大出力は31,000kWです。[1][4]

洪水吐ゲートは何門ありますか?

現行公式ページではローラーゲート5門です。発電用取水口のゲート2門はこの5門には含まれません。[1]

相模ダムはいつ完成しましたか?

県は1947年完成としています。竣工式は1947年6月14日で、洪水吐ゲートは同年7月に完成しました。湛水や相模発電所の発電開始はそれ以前です。[1][3]

現在、ダムの上を歩けますか?

通常は歩けません。管理橋(築井大橋)と前後通路は2025年4月1日から2043年3月予定まで通行止めで、歩行者も相模湖大橋へ迂回する案内です。[14]

相模ダムを見学する方法はありますか?

相模湖大橋など公開地点から外観を見られます。2026年10月4日の相模湖ダム祭では堤体道路の臨時開放が予定されていますが、通常公開とは別です。[12][13]

リニューアルではダム本体を造り直すのですか?

県は堤体の健全性を確認しており、主な対象は老朽化したゲート・ピア・開閉装置と、浸食した下流河道です。既設ダムを運用しながら更新します。[7]

相模湖の堆砂にはどう対応していますか?

2020~2029年度の堆砂対策事業で、年間15万m³を目標にしゅんせつしています。目的は上流域の災害防止と有効貯水容量の維持です。[9]

相模ダムを理解するための要点

本ページでは、相模ダムを神奈川県・相模原市緑区のダムとして記録しています。以下は掲載資料から確認できる基本情報です。

記録上の所在地
神奈川県相模原市緑区与瀬・若柳(左岸:与瀬、右岸:若柳)
施設種別
ダム
年代・供用状況
1947年6月14日竣工式/同年7月洪水吐ゲート完成
形式・構造
重力式コンクリートダム・ローラーゲート5門
公表された貯水容量等
総貯水容量63,200,000m³/有効貯水容量48,200,000m³

ダム・貯水施設の目的と役割

ダム・貯水施設の目的は、治水、発電、農業用水、工業用水、上水道など施設によって異なります。用途を一律に上水道とせず、対象施設の目的・容量・管理者を出典で確認してください。 この一般的な役割と、上記の調査本文に記載したこの施設固有の歴史・構造を分けてご覧ください。

見学・現地確認について

掲載上の見学情報は「リニューアル工事のため堤体上の管理橋(築井大橋)と前後通路は2025年4月1日~2043年3月予定で通行止め。相模湖大橋など公開地点から外観見学可。イベント時の開放は別途案内を確認」です。公開日、受付方法、見学可能範囲は変更されることがあります。訪問前に管理者や自治体の最新案内を確認し、現地では指定された見学経路に従ってください。

掲載内容はページ末尾の出典・参考資料15件を基に整理しています。資料間で表記が異なる場合は、自治体・管理者の案内を優先してください。

所在地マップ

神奈川県相模原市緑区与瀬・若柳(左岸:与瀬、右岸:若柳)

地図を大きく見る ↗

地図を読み込むとGoogle マップへ通信します。

地図は公開住所をもとに検索表示しています。施設の管理区域には立ち入らないでください。

地図検索:公開住所による地図検索 ↗

関連タグ

#現役施設#相模湖#重力式コンクリートダム#水道用水#水力発電#リニューアル事業#堆砂対策

出典・参考資料

  1. 1神奈川県「相模ダム(さがみダム)」(2026年5月19日更新、目的・諸元・ゲート・取水口)↗本文に戻る ↑
  2. 2神奈川県「相模川河水統制事業」(2026年5月19日更新、事業背景・沼本ダムとの関係)↗本文に戻る ↑
  3. 3神奈川県「相模ダム70年のあゆみ・相模ダムの誕生から現在まで」(建設・湛水・分水の沿革)↗本文に戻る ↑
  4. 4神奈川県「相模発電所」(2026年4月27日更新、出力・使用水量・有効落差・設備)↗本文に戻る ↑
  5. 5神奈川県「水資源の開発」(2026年2月18日更新、相模川河水統制事業と水道利用)↗本文に戻る ↑
  6. 6神奈川県「企業庁のあゆみ」(2026年更新、相模ダム・発電事業の年表)↗
  7. 7神奈川県「相模ダムリニューアル事業」(2026年1月22日更新、目的・工事内容・工期・概算工事費)↗本文に戻る ↑
  8. 8神奈川県「相模ダムリニューアル工事(第1期)下流施設工事の進捗状況」(2026年7月8日更新)↗本文に戻る ↑
  9. 9神奈川県「相模貯水池堆砂対策事業」(2026年6月26日更新、2020~2029年度・年間15万m³目標)↗本文に戻る ↑
  10. 10神奈川県「相模ダムの水質浄化の取り組み(エアレーション)」(設置・改良経緯)↗本文に戻る ↑
  11. 11神奈川県「ダムカードの配布について」(2026年8月6日更新、相模ダムの配布場所・時間)↗本文に戻る ↑
  12. 12神奈川県「相模ダム・相模湖」(2025年12月18日更新、撮影地点・徒歩時間)↗本文に戻る ↑
  13. 13神奈川県「第29回相模湖ダム祭」(2026年8月19日更新、2026年10月4日の臨時公開)↗本文に戻る ↑
  14. 14神奈川県「相模ダム堤体上の管理橋(築井大橋)通行止めのお知らせ」(2025年3月3日時点PDF)↗本文に戻る ↑
  15. 15神奈川県企業庁「相模ダムにおける事前放流の強化について」(治水協定・リニューアルとの関係)↗本文に戻る ↑

年代・出典の扱いと現役施設を確認するときの注意はアーカイブの読み方・見学ガイドにまとめています。

あわせて掲載している施設