県施工第一号として建設された霧積川のダム
霧積ダムは、群馬県安中市松井田町大字坂本の利根川水系霧積川にある群馬県管理のダムです。貯水池は霧積湖と呼ばれます。県の現行施設ページは、群馬県が施工した第一号のダムとして建設され、1975年度に完成したと説明しています。[1][4][5]
堤高59.0m、堤頂長305.0m、堤体積195,000m³の重力式コンクリートダムで、総貯水容量は2,500,000m³、有効貯水容量は2,100,000m³です。集水面積は20.4km²、湛水面積は0.13km²です。堤体積と貯水容量、集水面積と湛水面積はそれぞれ意味が異なります。[1][3]
目的は洪水調節と既得用水・河川環境の保全
県の目的表記はF・Nです。Fは洪水調節、Nは既得取水の安定化や河川環境の保全等を表します。上水道用水の新規開発量は「なし」とされ、施設ページの負担率にも上水道・発電の値は掲載されていません。[1][4]
県の役割説明では、渇水時にも従来からのかんがい用水や飲料水などの取水を安定させ、河川の維持流量を確保して景観や魚類の生息環境を維持するため、ダム湖の水を下流へ補給するとしています。これはダム自体が浄水処理や家庭への直接配水を行うという意味ではありません。[2]
計画高水流量360m³/sを80m³/sへ
霧積ダムの洪水調節は自然調節方式です。計画規模は1/100、計画雨量は362mm/日、ダム地点の計画高水流量360m³/sのうち280m³/sを調節し、80m³/sへ低減する計画です。治水基準点は烏川合流点とされています。[1][2]
これらは設計上の計画値です。実際の洪水で常に360m³/sが流入し、80m³/sを放流するという意味ではありません。降雨量、洪水前の水位、実際の流入量などに応じて観測値は変わります。[1][11]
洪水期は7月1日から9月30日と県が説明しています。洪水期には貯水位を下げ、より大きな洪水調節容量を確保する運用計画です。[1][2]
洪水期と非洪水期で容量配分を変える
有効貯水容量2,100,000m³の使い方は季節によって変わります。洪水期の洪水調節容量は1,400,000m³、利水容量は700,000m³です。非洪水期は洪水調節容量360,000m³、利水容量1,740,000m³となります。[1][2]
利水容量はすべて不特定用途として示されており、上水道の新規開発容量は設定されていません。洪水期700,000m³、非洪水期1,740,000m³という値を、総貯水容量やその時点の実貯水量と混同しないようにします。[1][2]
常時満水位はEL609.3m、洪水期制限水位はEL600.0m、最低水位はEL591.0mです。ELは標高であり、堤高59mや湖の水深を表す値ではありません。[1][3]
自由越流・ラジアルゲート・表面取水設備を備える
放流設備として、非常用洪水吐はクレスト自由越流2門、洪水期用の常用洪水吐はオリフィスラジアルゲート1門です。表面取水設備には4段のローラーゲート、利水放流設備には直径0.8mのホロージェットバルブ1条が公表されています。[1]
自然調節方式という説明と、ラジアルゲート等の設備が存在することは矛盾しません。自然調節方式は洪水調節の基本方式を表し、ダムに操作設備が一切存在しないという意味ではありません。[1]
1967年度の予備調査から1975年度の完成まで
安中土木事務所の事業経緯では、1967年度に予備調査、1968~1969年度に実施計画調査、1970年度から建設へ移行しています。1970年度は測量・調査・設計・補償・道路工事、1971~1974年度は道路工事や堤体工事、1975年度は管理施設の整備が記録されています。[3]
総事業費は3,465百万円です。建設に伴う補償として、山林23.34ha、宅地0.22ha、畑0.80ha、住家3戸、県道付替1,500m、林道付替1,300mが公式概要に掲載されています。これらは当時の事業記録であり、現在の土地利用面積を示すものではありません。[3]
2019年東日本台風での洪水調節実績
群馬県が作成した令和元年洪水記録では、2019年東日本台風時に霧積ダム地点で総雨量355mmを観測し、最大流入量100.17m³/sを記録しました。この時の放流量は72.44m³/sで、27.73m³/sを調節したとされています。[10][11]
洪水調節に伴う総調節量は890,000m³で、県は碓氷川の滝名田橋地点について、ダムがない場合に推定される最大流量約999m³/sを約980m³/sへ減少させ、水位を約5cm低減したと推定しています。[11]
この洪水は10月で非洪水期でしたが、県の記録では貯水池内工事のため洪水初期の水位が洪水期制限水位を下回っていたとされています。2019年の一洪水における条件であり、通常の非洪水期運用を示す一般値として扱っていません。[11]
下流約9.8kmまで放流警報看板を配置
安中土木事務所は2024年3月、坂本ダム・霧積ダムの放流警報看板の配置と記載内容を公開しました。霧積ダムについては、小萱警報局のダム下流1.5km地点から滝名田警報局の9.8km地点まで、9か所の看板位置を掲載しています。[9]
これは看板の配置情報であり、「9.8kmまでが常に危険区域」という固定的な線引きを意味するものではありません。放流時には現地のサイレン、放送、看板、管理者の指示に従う必要があります。[9]
ダムカードと堤体見学は現在も対象
群馬県河川課の現行案内では、霧積ダムはダムカード配布と「ダム見学(堤体内の見学含む)」の対象です。問い合わせ先は安中土木事務所霧積ダム管理所、電話027-395-2413です。[6][7]
安中土木事務所の施設概要にも、霧積ダムではダム見学を随時受け付けているとの記載があります。ただし、現行の県一覧には固定の見学曜日・時間・申込期限・受入人数までは掲載されていません。本記事ではそれらを推測せず、訪問前に管理所へ確認する案内としています。[3][6]
管理所の公開住所は安中市松井田町大字坂本1768-133です。県の現行組織案内でも、安中土木事務所のダム管理係が霧積ダムと坂本ダムの維持管理を担当すると確認できます。[1][8]
なお、「ぐんまダムかるた」は霧積ダムを含む25ダムで2023年9月末までに配布終了と県が案内しています。現在のダムカード配布とは別制度なので、かるた配布終了をダムカード配布終了と取り違えないようにします。[6][12]
Deep research
群馬県の現行施設諸元、安中土木事務所の建設史・役割、現行の見学案内、2024年の放流警報情報、令和元年洪水記録を照合しました。計画値と2019年実績、総容量と季節別容量、ダムカードと終了済みのダムかるたを区別しています。角括弧は記事末尾の出典番号です。
最終確認:2026-10-01
施設データを詳しく見る
- 堤高・堤頂長
- 59.0m/305.0m
- 堤体積
- 195,000m³
- 総貯水容量
- 2,500,000m³
- 有効貯水容量
- 2,100,000m³
- 集水面積・湛水面積
- 20.4km²/0.13km²
- 完成年度・目的
- 1975年度/F・N
群馬県の施設諸元。水位標高とは別の寸法です。[1][3][5]
ダム本体のコンクリート体積。貯水容量とは別です。[1][3]
施設全体の公表容量で、現在の貯水量ではありません。[1][3][5]
洪水期と非洪水期で用途別の配分が変わります。[1][3]
流域面積と貯水池水面の面積を区別した値です。[1][3]
洪水調節と既得取水の安定化・河川環境保全。新規上水道開発はありません。[1][4][5]
霧積湖の水を洪水調節と河川維持へ使う流れ
霧積ダムのF・N目的を水の役割に沿って整理しています。浄水処理工程ではありません。[1][2]
- 1
霧積川上流から霧積湖へ水を受ける
集水面積20.4km²の流域から貯水池へ水を受け入れます。[1][3]
- 2
洪水期に水位を下げて容量を確保する
7月1日~9月30日は洪水調節容量1,400,000m³を確保する計画です。[1][2]
- 3
自然調節方式で洪水流量を抑える
計画高水流量360m³/sのうち280m³/sを調節し、80m³/sへ低減する計画です。[1][2]
- 4
表面取水設備から必要な水を取り扱う
4段のローラーゲートを備えています。[1]
- 5
既得用水と河川環境のために補給する
渇水時の既得取水安定化や景観・魚類の生息環境維持のため下流へ補給します。[2]
- 6
利水放流設備から下流へ流す
直径0.8mのホロージェットバルブ1条が公表されています。[1]
霧積ダムの調査・建設・管理の年表
予備調査
安中土木事務所の事業経緯と県営ダム一覧に記録されています。[3][4]
実施計画調査開始
施設計画の調査段階です。[3][4]
実施計画調査を継続
翌年度も実施計画調査が記録されています。[3]
建設事業へ移行
測量・調査・設計・補償・道路工事を実施しました。[3][4]
堤体工事へ
道路工事と堤体工事が記録されています。[3]
堤体工事を継続
各年度の建設工程として堤体工事が続きました。[3]
管理施設整備・完成
県は昭和50年度完成、県施工第一号のダムと説明しています。[1][3][5]
東日本台風で洪水調節
最大流入100.17m³/sに対し放流72.44m³/s、27.73m³/sを調節しました。[10][11]
ぐんまダムかるた配布終了
ダムカードとは別制度で、県は霧積ダムを含む対象ダムのかるた配布終了を案内しています。[12]
放流警報看板情報を更新
霧積ダム下流の警報看板位置を県が公開しました。[9]
ダムカード・堤体見学の対象
県河川課の現行案内で、カード配布と堤体内を含む見学の対象に掲載されています。[6][7]
見学・アクセス情報
2026年10月1日調査。群馬県の現行案内では霧積ダムはダムカード配布・堤体内を含む見学の対象です。固定の見学曜日・時間・予約期限は現行一覧で確認できないため、訪問前に霧積ダム管理所へ問い合わせてください。[3][6][7]
- ダム堤体見学
- 実施中・管理所へ問い合わせ
- 内部見学
- 「堤体内の見学含む」と県が案内
- 旧施設ページの案内
- ダム見学を随時受付と記載
- ダムカード
- 配布対象
- 管理所
- 安中市松井田町大字坂本1768-133
- 管理所電話
- 027-395-2413
- 管理担当
- 安中土木事務所 ダム管理係
- ぐんまダムかるた
- 配布終了
県の現行案内で霧積ダムを対象に掲載しています。[6][7]
具体的な日時・コース・受入人数は事前確認が必要です。[6]
2011年更新ページの記載。現在の具体条件は現行窓口へ確認します。[3]
配布方法・時間は各ダムで異なるため事前確認するよう県が案内しています。[6]
群馬県の現行施設ページに掲載された住所です。[1]
ダムカード・堤体見学の問い合わせ先として掲載されています。[1][6]
霧積ダム・坂本ダムの維持管理を担当します。[8]
2023年9月末までに終了。ダムカードとは別です。[12]
見学目的でも門・柵・管理区域を越えず、管理者が案内する公開条件と指定経路に従ってください。
洪水期・非洪水期で変わる容量配分
群馬県公表の施設計画
有効貯水容量2,100,000m³の内訳は季節で変わります。総貯水容量2,500,000m³や実際の貯水量とは別の概念です。[1][2]
- 洪水期 洪水調節容量
- 1,400,000m³
- 洪水期 利水容量
- 700,000m³
- 非洪水期 洪水調節容量
- 360,000m³
- 非洪水期 利水容量
- 1,740,000m³
- 常時満水位・洪水期制限水位
- EL609.3m/EL600.0m
7月1日~9月30日の計画容量。[1][2]
全量が不特定用途として掲載されています。[1][2]
非洪水期の容量配分。[1]
全量が不特定用途です。[1][2]
標高値であり、堤高・水深ではありません。[1][3]
2019年東日本台風で記録された洪水調節
群馬県の令和元年洪水記録に掲載された一洪水の実績です。計画値や他の洪水へ一般化しません。[10][11]
- 総雨量
- 355mm
- 最大流入量
- 100.17m³/s
- 放流量
- 72.44m³/s
- 調節流量
- 27.73m³/s
- 総調節量
- 890,000m³
- 滝名田橋の推定水位低減
- 約5cm
霧積ダム地点の観測値。[11]
令和元年東日本台風時の最大流入。[11]
最大流入時の県公表値。[11]
最大流入時点の流入量と放流量の差。[11]
洪水調節に伴ってため込んだ水量。[11]
県がダムなしの場合と比較して推定した当該洪水の効果。[11]
当時は非洪水期でしたが、貯水池内工事のため洪水初期水位が洪水期制限水位を下回っていたと記録されています。[11]
放流警報看板と下流の安全情報
2024年更新の県ページは霧積ダム下流に9か所の放流警報看板を掲載し、最下流側はダムから9.8kmの滝名田警報局です。[9]
距離は看板配置を示す値です。放流時は現地の警報・放送・管理者の指示に従ってください。[9]
「N目的」と新規水道用水を混同しない
霧積ダムのN目的は、既得取水の安定化と河川環境の保全等です。県の利水計画は「新規開発なし」としています。[1][2]
- 目的
- F・N
- 新規開発
- なし
- 上水道容量
- 設定なし
洪水調節/既得取水の安定化・河川環境保全。[1][4]
県の利水計画に明記されています。[1]
季節別容量表の上水道欄は空欄です。[1]
建設に伴う補償・付替道路の記録
安中土木事務所の概要ページは、建設時の補償対象として山林23.34ha、宅地0.22ha、畑0.80ha、住家3戸を記録しています。[3]
- 県道付替
- 1,500m・幅7.00m
- 林道付替
- 1,300m・幅2.00m
- 総事業費
- 3,465百万円
建設時の公式記録です。[3]
現在の道路幅・通行条件を示すものではありません。[3]
当時の事業費として公表されています。[1][3]
よくある質問
霧積ダムは何のためのダムですか?
洪水調節と、既得取水の安定化・河川環境の保全等を目的とする県営ダムです。目的記号はF・Nです。[1][2][4]
上水道用水を新しく開発するダムですか?
県の利水計画では新規開発は「なし」で、季節別容量表にも上水道容量は設定されていません。N目的は既得取水の安定化や河川環境保全です。[1][2]
洪水時はどのくらい流量を減らす計画ですか?
計画高水流量360m³/sのうち280m³/sを調節し、80m³/sへ低減する計画です。実際の洪水流量とは別の設計値です。[1][2]
洪水期と非洪水期で貯水容量は変わりますか?
総貯水容量と有効貯水容量は変わりませんが、有効容量の用途配分が変わります。洪水期は洪水調節140万m³・利水70万m³、非洪水期は36万m³・174万m³です。[1][2]
2019年東日本台風ではどのくらい調節しましたか?
最大流入100.17m³/sに対して72.44m³/sを放流し、27.73m³/sを調節しました。総調節量は89万m³で、県は滝名田橋の水位を約5cm低減したと推定しています。[10][11]
霧積ダムを見学できますか?
群馬県の現行案内では、霧積ダムは堤体内を含むダム見学の対象です。具体的な日時や申込条件は霧積ダム管理所へ事前に確認してください。[3][6][7]
ダムカードは現在も配布していますか?
県の現行案内では霧積ダムはダムカード配布対象です。配布方法や時間は各ダムで異なるため、管理所への事前確認が案内されています。[6][7]
ぐんまダムかるたも配布していますか?
県は霧積ダムを含む対象ダムの「ぐんまダムかるた」配布を2023年9月末までに終了したと案内しています。ダムカードとは別制度です。[12]
霧積ダムを理解するための要点
本ページでは、霧積ダムを群馬県・安中市のダムとして記録しています。以下は掲載資料から確認できる基本情報です。
- 記録上の所在地
- 群馬県安中市松井田町大字坂本1768-133(霧積ダム管理所)
- 施設種別
- ダム
- 年代・供用状況
- 1967年度予備調査/1970年度建設着手/1975年度完成
- 形式・構造
- 重力式コンクリートダム
- 公表された貯水容量等
- 総貯水容量2,500,000m³/有効貯水容量2,100,000m³
ダム・貯水施設の目的と役割
ダム・貯水施設の目的は、治水、発電、農業用水、工業用水、上水道など施設によって異なります。用途を一律に上水道とせず、対象施設の目的・容量・管理者を出典で確認してください。 この一般的な役割と、上記の調査本文に記載したこの施設固有の歴史・構造を分けてご覧ください。
見学・現地確認について
掲載上の見学情報は「群馬県の現行案内でダムカード配布・堤体内を含むダム見学の対象。問い合わせ先は霧積ダム管理所。固定の見学曜日・時間・申込期限は現行一覧に記載がないため、訪問前の確認が必要」です。公開日、受付方法、見学可能範囲は変更されることがあります。訪問前に管理者や自治体の最新案内を確認し、現地では指定された見学経路に従ってください。
掲載内容はページ末尾の出典・参考資料12件を基に整理しています。資料間で表記が異なる場合は、自治体・管理者の案内を優先してください。
所在地マップ
群馬県安中市松井田町大字坂本1768-133(霧積ダム管理所)
地図は公開住所をもとに検索表示しています。施設の管理区域には立ち入らないでください。
地図検索:公開住所による地図検索 ↗関連タグ
出典・参考資料
- 1群馬県 河川課「霧積ダム」施設諸元・治水利水計画・容量・設備↗
- 2群馬県 安中土木事務所「霧積ダムの役割」洪水調節・流水の正常な機能の維持↗
- 3群馬県 安中土木事務所「霧積ダムの概要」建設経緯・補償・見学↗
- 4群馬県 河川課「県営ダム一覧」完成年度・目的↗
- 5群馬県 地域創生課「群馬県内のダム一覧」主要諸元・県施工ダム一覧↗
- 6群馬県 河川課「ダムカードの配布及びダム堤体見学のお知らせ」↗
- 7群馬県 河川課 公式ページ「ぐんまのダム」現行の見学・カード案内↗
- 8群馬県 安中土木事務所 公式ページ「ダム管理係」↗
- 9群馬県 安中土木事務所「坂本ダム・霧積ダム放流警報看板について」↗
- 10群馬県 河川課「洪水記録」令和元年東日本台風の記録案内↗
- 11群馬県「令和元年洪水記録」(PDF)霧積ダム洪水調節実績↗
- 12群馬県 河川課「ぐんまダムかるたの配布について」配布終了情報↗
年代・出典の扱いと現役施設を確認するときの注意はアーカイブの読み方・見学ガイドにまとめています。