建設の背景
明治末期、青森市では人口増加とコレラなど水系感染症の流行が深刻な課題となっていた。市は近代的な水道整備を急務とし、横内川を水源として浄水場の建設に着手。1909年(明治42年)12月6日、青森市創設水道の中心施設として横内浄水場が完成した。
設計には当時の内務省土木局が開発を進めていた緩速ろ過技術が採用された。横内川から取水した原水を大型の砂層でゆっくりと通過させることで、細菌や微細な濁質を自然の生物作用によって除去する方式であり、薬品の使用量が少なく管理が容易な点が評価された。
施設の特徴
緩速ろ過は、砂層の表面に形成される「生物膜(シュムッツデッケ)」が微生物を捕捉・分解する仕組みである。急速ろ過に比べて処理速度は遅いものの、薬品添加に頼らないため、原水水質の変動に対して安定した処理性能を発揮する。横内浄水場はこの方式を明治期の設計のまま継承し、現在も日量最大5万立方メートルの処理能力を維持している。
施設内には取水設備・沈殿池・緩速ろ過池・浄水池が体系的に配置されており、竣工から110年以上を経た現在も現役の水道施設として機能している。
現況
市内中心部への配水を担う基幹施設として現在も稼働中。平日であれば事前に電話予約(017-738-6507)をすることで施設見学が可能であり、近代水道の原点に触れる貴重な機会を提供している。同じ青森市内の堤川浄水場(急速ろ過)と対を成す形で、時代の異なる浄水技術を体感できる。
出典・参考資料
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