1963年に通水した奈良市の基幹浄水場
緑ヶ丘浄水場は、西郊地域の住宅開発と人口増加へ対応する第3期拡張第1次事業で新設され、1963年7月2日に通水式が行われた。奈良市が東部の水源を市街地へ自然流下で導く構想を具体化した施設で、その後も需要増加に合わせて増設を重ねた。1966年夏には大規模断水が発生し、浄水場の増設と主要な送・配水幹線の整備がさらに進められた。
布目川・白砂川から約1万メートルを自然流下
主な自己水源は布目川・白砂川などである。原水は布目取水口などから、須川ダムを経由する自然流下水源導水路へ入り、緑ヶ丘浄水場まで約1万メートルを地形の高低差で流れる。導水路は山岳トンネルとダクタイル鋳鉄管で構成され、1972年に大きく完成した。奈良市は現在もこの導水路を基幹施設と位置付け、トンネル部の再調査、補強、管路部の耐震化や複線化を検討している。
急速ろ過114,000・緩速ろ過36,000立方メートル/日
奈良市の施設資料では、公称施設能力を1日150,000立方メートルとしている。凝集沈でん池4池で濁りを沈めた後、急速ろ過池16池と緩速ろ過池4池の二方式で処理する構成で、資料上の処理能力は急速系114,000立方メートル/日、緩速系36,000立方メートル/日である。ろ過後は塩素消毒を行い、浄水池・配水池を経て市内の送配水系統へ送る。
須川ダムと布目ダムで水源を強化
自然流下系統では1969年に須川ダムが完成した。さらに人口増加と生活様式の変化で水需要が伸びたため布目ダムに新たな水源を求め、1992年4月の完成後に日量76,000立方メートルを増量利水した。奈良市の水源資料では、布目川・白砂川系統の水利を日量150,000立方メートルとしている。浄水場の歴史は一度の完成で終わるのではなく、水源開発と施設拡張が段階的に積み重なったものとして読む必要がある。
耐震化・排水処理・導水路の長寿命化
昭和期から使う施設の老朽化に対応するため、奈良市は排水処理施設や急速ろ過池の設備更新・耐震化を進めてきた。自然流下水源導水路では2022年度に布目取水口から須川ダム間のトンネル部を再調査し、過去に確認した背面空洞やひび割れの進行状況を確認した。2026年度にも緩速ろ過池洗浄業務が発注されており、現役の浄水施設として維持管理が続いている。
水質管理と災害時の応急給水
奈良市企業局は水源河川、浄水場の入口・処理過程・出口、給水栓までを対象に年度ごとの水質検査計画を策定し、結果を毎月公表している。令和7年度の緑ヶ丘浄水場浄水ではPFOS・PFOAを年4回測定し、12、7、11、11ng/Lだった。場内の浄水池は災害時の応急給水拠点にも指定され、2025年12月公表時点で容量・確保量とも12,000立方メートルとされている。
所在地は公開、見学は事前確認が必要
公式アクセス案内は所在地を奈良市奈良阪町、連絡先を送配水管理センター0742-22-6456としている。ただし、所在地の公開は自由入場を意味しない。2018年には浄水場見学等で広報用ボトル水を配布した記録がある一方、2026年9月時点で常設の一般見学制度や随時予約を案内する現行公式ページは確認できないため、見学を希望する場合は事前に管理者へ確認する。
Deep research
奈良市企業局と奈良市の公開資料を照合し、1963年の通水、自然流下水源導水路、須川ダム・布目ダムとの関係、急速・緩速ろ過、施設能力、災害時の応急給水、水質管理、現在の維持管理までを整理しました。古い施設能力資料は資料時点を明記し、所在地の公開と自由入場を混同しないよう見学条件を分けて扱っています。
最終確認:2026年9月4日
施設データを詳しく見る
- 通水
- 1963年7月2日
- 公称施設能力
- 150,000立方メートル/日
- 急速ろ過
- 114,000立方メートル/日・16池
- 緩速ろ過
- 36,000立方メートル/日・4池
- 主な自己水源
- 布目川・白砂川など
- 応急給水用の浄水池
- 12,000立方メートル
奈良市「奈良のあゆみ-昭和」
奈良市の施設資料・県域水道一体化資料に掲載
2池予備の資料時点
1池予備の資料時点
須川ダムと自然流下水源導水路を利用
2025年12月公表の確保量も12,000立方メートル
布目川・白砂川から奈良市街地までの水の流れ
- 1
布目川・白砂川などから水を確保
奈良市東部の布目川や白砂川などを自己水源として利用します。布目ダム完成後は布目川で新たな安定水利権を得て、緑ヶ丘浄水場系統の水源が強化されました。
- 2
自然流下水源導水路へ取り入れる
布目取水口などから取り入れた原水は、山岳トンネルとダクタイル鋳鉄管で構成される自然流下水源導水路へ入ります。地形の高低差を利用するため、長距離の導水に常時ポンプを使わない方式です。
- 3
須川ダムを経て約1万メートルを流下
原水は須川ダムを経由し、緑ヶ丘浄水場まで約1万メートルを自然流下します。奈良市はこの経路を基幹導水施設として位置付け、トンネル部・管路部の調査と耐震化を進めています。
- 4
凝集・沈でんで濁りを除く
着水井で水量を調整し、凝集剤を加えて細かな土や濁りをフロックにまとめ、凝集沈でん池で沈めます。公式施設資料では凝集沈でんの処理能力を1日150,000立方メートル、4池としています。
- 5
急速ろ過と緩速ろ過を使う
緑ヶ丘浄水場は急速ろ過と緩速ろ過の両方式を備えます。資料上の公称能力は急速系114,000立方メートル/日、緩速系36,000立方メートル/日で、ろ過後に塩素消毒を行います。
- 6
浄水池・配水池から市内へ送る
処理した水は浄水池や配水池で需要変動を調整し、市内の送配水系統へ送られます。緑ヶ丘浄水場の浄水池は災害時の応急給水拠点にも指定され、給水車への注水に使えるよう確保されています。
緑ヶ丘浄水場の年表
自然流下水源導水路事業を正式に樹立
奈良市東部の布目川・白砂川に水源を求め、自然流下で市街地へ水を導く大規模事業の構想が正式化されました。
第3期拡張第1次事業を認可
西郊地域の住宅開発と人口増加へ対応するため、緑ヶ丘浄水場の新設を中心とする拡張事業が進められました。
緑ヶ丘浄水場の通水式
奈良市の市史年表はこの日に通水式を挙行したと記録しています。緑ヶ丘浄水場の供用開始を示す基準日です。
須川ダム建設を含む第3期拡張第2次事業
須川ダム、取水施設、導水路などを整備する事業が本格化し、自然流下系統の水源と導水設備が拡張されました。
人口増加で大規模断水
西郊地域の急激な住宅開発による水需要増加で大規模断水が発生し、緑ヶ丘浄水場の増設や主要送配水幹線の整備が急がれました。
須川ダムが完成
自然流下系統の中継・貯留を担う須川ダムが完成し、奈良市の自己水源系統が強化されました。
自然流下水源導水路と浄水場増設が大きく前進
第3期拡張第3次事業が完成し、昭和36年度から続いた自然流下水源導水路事業も一部を除いて完了しました。
布目ダムによる増量利水
布目ダムの完成を受けて日量76,000立方メートルを増量利水し、奈良市の資料では布目川・白砂川系統の最大取水量が合計150,000立方メートル/日となりました。
排水処理施設を改良
老朽化した凍結融解設備の代替を含む排水処理施設改良が計画され、浄水処理で生じる汚泥を安定して処理する設備更新が進められました。
自然流下導水路を再調査
布目取水口から須川ダムまでのトンネル部を再調査し、過去に確認した背面空洞やひび割れの進行状況を確認しました。今後も補強・耐震化が検討されています。
応急給水と現役設備の維持管理を継続
浄水池12,000立方メートルが応急給水拠点として公表され、2026年度にも緩速ろ過池洗浄など現役施設の維持管理業務が発注されています。
見学・アクセス情報
奈良市企業局は緑ヶ丘浄水場の所在地と連絡先を公開していますが、2026年9月時点で常設の一般見学制度や自由入場条件を案内する現行ページは確認できません。
- 所在地
- 〒630-8104 奈良市奈良阪町
- 一般見学
- 常設の一般見学案内は確認できません
- 過去の見学実績
- 浄水場見学等で広報用ボトル水を配布した案内あり
- 自由入場
- 公式案内なし
- 送配水管理センター
- 0742-22-6456
- 水質に関する問い合わせ
- 水質管理室 0742-22-7087
2018年公表。現在の随時受付を示す情報ではありません
所在地公開は自由入場を意味しません
緑ヶ丘浄水場内
見学目的でも門・柵・管理区域を越えず、管理者が案内する公開条件と指定経路に従ってください。
令和7年度のPFOS・PFOA公表値と令和8年度の検査体制
令和7年度(2025年5月〜2026年1月)緑ヶ丘浄水場浄水
奈良市企業局が年4回公表した緑ヶ丘浄水場浄水のPFOS・PFOA合算値と、令和8年度水質検査計画の代表的な検査項目数を整理しました。PFOS・PFOAの目標値表記は、奈良市が2026年3月4日に公表したページの表現に従います。
- 2025年5月 PFOS・PFOA
- 12ng/L
- 2025年8月 PFOS・PFOA
- 7ng/L
- 2025年11月 PFOS・PFOA
- 11ng/L
- 2026年1月 PFOS・PFOA
- 11ng/L
- PFOS・PFOA検査頻度
- 年4回
- 水質基準項目
- 52項目
- 水質管理目標設定項目
- 24項目
- 奈良市独自の水質項目
- 17項目
令和8年度水質検査計画
令和8年度水質検査計画
令和8年度水質検査計画
令和8年度の水質検査結果は毎月更新されています。飲用上の判断や最新値の確認には、奈良市企業局が公表する当該月の水質検査結果を優先してください。
よくある質問
緑ヶ丘浄水場は現在も使われていますか?
はい。奈良市企業局の送配水管理センターが現在も運転・維持管理を担当しており、2026年度にも緩速ろ過池洗浄などの維持管理業務が発注されています。
緑ヶ丘浄水場の水源はどこですか?
主な自己水源は布目川・白砂川などです。原水は布目取水口などから自然流下水源導水路へ入り、須川ダムを経て緑ヶ丘浄水場へ送られます。
緑ヶ丘浄水場の処理能力はどのくらいですか?
奈良市の施設資料や県域水道一体化資料では、施設能力を1日150,000立方メートルとしています。内訳として急速ろ過114,000立方メートル/日、緩速ろ過36,000立方メートル/日の資料があります。
急速ろ過と緩速ろ過の両方を使っているのですか?
はい。奈良市企業局の施設案内は緑ヶ丘浄水場に急速ろ過池と緩速ろ過池の両方があることを示しています。処理方式ごとの能力は公式施設資料で別々に整理されています。
緑ヶ丘浄水場は見学できますか?
所在地と電話番号は公開されていますが、2026年9月時点で常設の一般見学制度や自由入場を案内する現行公式ページは確認できません。見学を希望する場合は送配水管理センターへ事前に確認してください。
1963年、1972年、1992年はそれぞれ何の年ですか?
1963年7月2日は緑ヶ丘浄水場の通水式、1972年3月は自然流下水源導水路と浄水場増設を含む第3期拡張第3次事業完成の節目、1992年4月は布目ダム完成後の増量利水の節目です。
災害時にも使われる施設ですか?
はい。奈良市企業局は緑ヶ丘浄水場の浄水池を応急給水拠点として公表しており、容量・確保量とも12,000立方メートルとしています。給水車への注水拠点にもなります。
PFOS・PFOAはどのくらい検出されていますか?
令和7年度の緑ヶ丘浄水場浄水では、2025年5月12ng/L、8月7ng/L、11月11ng/L、2026年1月11ng/Lでした。奈良市企業局は年4回の定期検査を継続しています。
奈良市緑ヶ丘浄水場を理解するための要点
本ページでは、奈良市緑ヶ丘浄水場を奈良県・奈良市の浄水場として記録しています。以下は掲載資料から確認できる基本情報です。
- 記録上の所在地
- 奈良県奈良市奈良阪町
- 施設種別
- 浄水場
- 年代・供用状況
- 1963年(昭和38年)7月2日通水、1972年(昭和47年)自然流下水源導水路・増設事業が大きく完成
- 構造・浄水方式
- 凝集沈でん池4池・急速ろ過池16池・緩速ろ過池4池・浄水池・配水池・排水処理施設
- 公表された浄水能力等
- 施設能力150,000立方メートル/日(急速ろ過114,000・緩速ろ過36,000)
施設の機能と地域での役割
浄水施設は、水源から取り入れた原水の濁りや不純物を取り除き、水道水へ処理する工程を担います。施設固有の処理方式・能力・水源は本文の出典に基づいて確認してください。 この一般的な役割と、上記の調査本文に記載したこの施設固有の歴史・構造を分けてご覧ください。
見学・現地確認について
掲載上の見学情報は「所在地と連絡先は公開されているが、2026年9月時点で常設の一般見学制度や自由入場条件を示す現行公式案内は確認できない。見学希望は奈良市企業局送配水管理センターへ事前確認が必要」です。公開日、受付方法、見学可能範囲は変更されることがあります。訪問前に管理者や自治体の最新案内を確認し、現地では指定された見学経路に従ってください。
掲載内容はページ末尾の出典・参考資料14件を基に整理しています。資料間で表記が異なる場合は、自治体・管理者の案内を優先してください。
所在地マップ
奈良県奈良市奈良阪町
ピンは公開されている登録住所を基にした位置の目安です。施設の管理区域には立ち入らないでください。
座標確認:Yahoo!マップ 施設情報 ↗関連タグ
出典・参考資料
- 1奈良市「奈良のあゆみ-昭和(1926~1989)」↗
- 2奈良市企業局「浄水場」↗
- 3奈良市企業局「歴史と沿革(これまでの変遷)」↗
- 4奈良市企業局「水源」↗
- 5奈良市企業局「ボトル水『自然流下一万メートル』を製造しました」↗
- 6奈良市企業局「奈良市水道事業の現状分析と評価」↗
- 7奈良市企業局「奈良市水道事業中長期計画・導水路」↗
- 8奈良市企業局「令和8年度 水質検査計画」↗
- 9奈良市企業局「水質検査結果(令和8年度)」↗
- 10奈良市企業局「PFOS・PFOAの検出状況」↗
- 11奈良市企業局「応急給水拠点の詳細」↗
- 12奈良市企業局「緑ヶ丘浄水場 アクセス」↗
- 13奈良市企業局「企業局組織一覧」↗
- 14奈良市企業局「令和8年5月1日公告 一般競争入札」↗
年代・出典の扱いと現役施設を確認するときの注意はアーカイブの読み方・見学ガイドにまとめています。