川崎臨海部で電力と熱を供給する発電所
川崎火力発電所は、神奈川県川崎市川崎区千鳥町5-1に位置するJERAの火力発電所です。JERAの施設案内は敷地面積を約28万平方メートル、最大出力を342万kWとしています。現在の設備はLNGを燃料とするコンバインドサイクルで、1号系列3軸、2号系列3軸の計6軸からなります。設備容量を示すkWと、一定期間に発電した電力量を示すkWhは別の指標です。本記事では最大出力から年間発電量を推算していません。[1][2]
石炭火力から現在のLNG設備への変遷
1961年に石炭火力として営業運転を開始し、1972年にナフサ、1984年にLNGへ燃料を転換しました。1996年にリプレース計画が公表され、1号系列は1999年10月から建設が進められました。設備の運転開始は番号順ではなく、1-3軸が2007年、1-2軸が2008年、1-1軸が2009年です。旧設備の創設年と、現行設備の運転開始年を分けて読む必要があります。[3][4][5][9]
ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせる仕組み
コンバインドサイクルは、燃焼ガスでガスタービンを動かし、その排熱で蒸気をつくって蒸気タービンにも利用する方式です。川崎では1号系列全3軸と2-1軸に1,500℃級MACC、2-2軸と2-3軸に1,600℃級MACCⅡを採用しています。排熱回収ボイラは、ガスタービンを出た燃焼ガスの熱を蒸気へ移す設備です。温度区分は燃焼ガス側の値であり、工場へ送る蒸気の温度ではありません。[2][3][7][8]
6軸の設備出力と資料の読み分け
2024年作成のJERAパンフレットでは、1-1軸・1-2軸・1-3軸・2-1軸を各50万kW、2-2軸・2-3軸を各71万kWとしています。この6軸の合計342万kWは、確認時点の施設案内の最大出力と一致します。一方、2016年の営業運転開始リリースには、2-2軸・2-3軸が蒸気タービンの応急対策により当初設計の71万kWではなく68.5万kWだったという注記があります。2-3軸は2017年8月の恒久対策で71万kWへ戻ったことが公表されています。過去の制約値を現在の設備値として扱わないよう区別しています。[1][2][8][9][10]
川崎スチームネットと千鳥・夜光地区の工場
川崎スチームネットは2010年2月1日に営業を開始しました。当時の発表では、川崎火力1号系列の蒸気を千鳥・夜光地区の10社へ年間約30万トン供給する計画が示されています。これらは2010年の事業開始時の値であり、現在の年間実績や契約社数を意味しません。JERAの現行紹介も近隣企業への蒸気供給を説明しています。電気をつくるだけでなく、各工場が自前のボイラでつくっていた蒸気の一部を地域で共同利用する点が、この施設の特徴です。[6][12]
環境対策と電力の需給調整
2016年のMACCⅡ導入資料は、低NOx燃焼器と高性能脱硝装置の採用を説明しています。JERAのパンフレットでは、排水の前処理と総合排水処理装置による浄化、水質確認の後の排水についても記載しています。JERAの取組紹介は、再生可能エネルギーの発電量の変動に合わせた出力調整にも言及しています。ただし、設備方式の説明や設計時の削減効果は、直近年度の排出量実測値とは区別が必要です。本記事では未確認の年間排出量・稼働率を補っていません。[2][8][12]
見学は予約制で、特別公開とは条件が異なる
2026年9月15日に確認したJERAの見学案内は、企業・団体・学校関係を対象とし、1組20名以下を基本にメールで受入可否を確認する方式です。学校はクラス・学年単位の案内です。個人が予約なしに自由に入れる施設ではありません。川崎市は2026年3月26日のオープンファクトリーでも見学を案内しましたが、この催しは終了済みです。過去の特別公開を通常の開場日として利用せず、現在の受入条件を公式案内で確認してください。[13][14]
Deep research
JERAの現行施設案内・2024年パンフレット、東京電力の運転開始・改修資料、川崎市の公開案内を照合しました。現行の設備出力、営業運転開始時の制約、工事完了、過去の見学企画を別の時点として整理しています。角括弧の番号はページ末尾の出典番号に対応します。
最終確認:2026年9月15日
施設データを詳しく見る
- 運営主体
- 株式会社JERA
- 最大出力
- 342万kW(3,420MW)
- 敷地面積
- 約28万平方メートル
- 現行設備の構成
- 2系列・計6軸
- 燃料
- LNG(液化天然ガス)
- 地域の熱利用
- 千鳥・夜光地区への蒸気供給
施設案内[1]。JERAへの既存火力発電事業等の統合は2019年4月1日[11]。
現行施設案内[1]、2026年9月15日確認。年間発電電力量ではありません。
施設案内[1]。パンフレット[2]は約280,000平方メートルと表記。
2024年パンフレット[2]の設備表。1号系列・2号系列は各3軸。
現行設備の燃料[2]。1961年創設時の石炭火力とは区別します。
2010年の事業開始資料[6]とJERAの取組紹介[12]。現在の供給量は推定していません。
発電と蒸気供給の仕組み
各工程の説明は公式の方式解説と設備資料に基づきます。場内の見学経路を示すものではありません。[2][3][7][8][12]
- 1
LNGを燃料として利用
現行6軸はいずれもLNGを燃料とします。燃料の違いは旧設備の歴史と分け、現在の設備を石炭火力として紹介しないよう整理しています。[2][9]
- 2
燃焼ガスでガスタービンを駆動
空気圧縮機、燃焼器、ガスタービンを経て燃料のエネルギーを回転力へ変えます。MACCは1,500℃級、MACCⅡは1,600℃級という燃焼温度区分です。[2][3][8]
- 3
排熱回収ボイラで蒸気を発生
ガスタービンを通過した燃焼ガスの熱で蒸気をつくります。排熱を再利用するため、蒸気タービンだけを使う方式とは設備構成が異なります。[2][3]
- 4
蒸気タービンでも発電
つくられた蒸気を蒸気タービンに送り、ガスタービンと組み合わせて発電します。1号系列のMACC導入と2号系列の増設により、現在の6軸構成となりました。[3][5][7][9]
- 5
電力需要に応じて出力を調整
JERAは川崎火力を、需要や再生可能エネルギーの発電量の変動に対応する調整電源としても紹介しています。最大出力の公表値は、常時その出力で運転していることを意味しません。[12]
- 6
蒸気の一部を近隣工場へ供給
発電で利用する蒸気の一部を地域の配管へ送り、工場の熱需要に利用します。2010年の川崎スチームネットの営業開始を起点に、発電所と千鳥・夜光地区の工場を結ぶ熱利用を整理できます。[6][12]
川崎火力発電所の年表
石炭火力として創設
旧設備で営業運転を開始。現在のLNGコンバインドサイクル設備の運転開始年ではありません。[9]
燃料を段階的に転換
1972年にナフサ、1984年にLNGへ転換したことが、2016年の運転開始資料で振り返られています。[9]
リプレース計画公表と1号系列の建設
計画公表は1996年。1号系列の建設開始は1999年10月とされ、計画と工事開始の時点は異なります。[5][9]
1号系列第3軸が営業運転開始
現行設備の初軸として50万kWのMACCが運転を開始しました。第3軸が第1軸より先に運転を始めています。[3]
1号系列第2軸が営業運転開始
50万kWの第2軸が加わりました。[4]
1号系列全軸が営業運転
第1軸の運転開始により、1号系列の50万kW×3軸、計150万kWがそろいました。[5]
川崎スチームネットが営業開始
千鳥・夜光地区コンビナートへの蒸気供給事業が始まりました。[6]
2号系列第1軸が営業運転開始
1,500℃級MACC、出力50万kWの第1軸を増設しました。[7]
2号系列第2軸が営業運転開始
1,600℃級MACCⅡを採用。当初設計は71万kWですが、開始時は応急対策により68.5万kWとの注記があります。[8]
2号系列第3軸が加わり全6軸構成に
MACC4軸・MACCⅡ2軸となりました。第3軸にも開始時の応急対策による出力低下の注記があります。[9]
リプレース工事完了
2024年作成パンフレットは、この時点をすべてのリプレース工事の終了としています。全6軸の営業運転開始とは区別します。[2]
2号系列第3軸の恒久対策完了
低圧蒸気タービン最終段翼の取替により、出力は68.5万kWから71万kW、発電効率は約59%から約61%へ上昇したと公表されました。[10]
JERAへ既存火力発電事業等を統合
東京電力フュエル&パワーと中部電力の既存火力発電事業等をJERAへ統合。現在の施設案内はJERAが公開しています。[1][11]
見学・アクセス情報
通常の予約見学はJERAの現行案内[13]、公共交通の参考は川崎市の2026年特別公開案内[14]を用いています。市のイベントは終了済みで、通常の受入れを保証するものではありません。受入可否と集合場所は予約時の連絡を優先してください。
- 対象・人数
- 企業・団体・学校関係/1組20名以下
- 時間枠
- 火~金の10:00~11:30/13:30~15:00
- 申込み
- 見学受付メール ks-kouhou@jera.co.jp
- 標準コース
- 概要説明・展示ホール・タービンフロア・排熱回収ボイラ
- 公共交通の参考
- 川崎駅東口から市バス川04・川05系統等、JERA川崎火力発電所前で下車
- 車での来所・撮影
- 乗用車での来所は極力控える/撮影は許可場所のみ
- 一般向け特別公開
- 2026年3月26日の市主催企画は終了済み
学校はクラス・学年単位。公式案内上の対象であり、受入可否の確認が必要です。[13]
月曜日・土日祝日・年末年始を除く、標準90分の予約枠。自由入場できる開館時間ではありません。[13]
団体・申込者情報、人数、希望日時、目的等を連絡し、日程確定後に所定の申込書と名簿を提出します。[13]
設備運用や暑さにより変更・中止があります。オンライン見学は現行案内では実施していません。[13]
市の2026年特別公開案内は下車後徒歩5分と記載。最新のダイヤと予約時の集合指示を確認してください。[14]
駐車場確保と構内の安全・知的所有権保護のための公式注意事項です。[13]
小学生以上を対象とした企画の実績。現在募集中の催しとしては掲載していません。[14]
見学目的でも門・柵・管理区域を越えず、管理者が案内する公開条件と指定経路に従ってください。
設備別の出力・方式・運転開始
設備値:JERA 2024年パンフレット/開始日:当時の営業運転開始資料
1号系列は150万kW、2号系列は192万kWで、6軸の合計は342万kWです。以下の出力は公表設備値であり、現在時刻の実出力や年間の発電実績を示すものではありません。[1][2]
- 1号系列第1軸(1-1)
- 50万kW/MACC・1,500℃級
- 1号系列第2軸(1-2)
- 50万kW/MACC・1,500℃級
- 1号系列第3軸(1-3)
- 50万kW/MACC・1,500℃級
- 2号系列第1軸(2-1)
- 50万kW/MACC・1,500℃級
- 2号系列第2軸(2-2)
- 71万kW/MACCⅡ・1,600℃級
- 2号系列第3軸(2-3)
- 71万kW/MACCⅡ・1,600℃級
2009年2月5日営業運転開始。[2][5]
2008年6月4日営業運転開始。[2][4]
2007年6月15日営業運転開始。[2][3]
2013年2月1日営業運転開始。[2][7]
2016年1月29日営業運転開始。開始時の68.5万kWという制約値と区別。[2][8]
2016年6月29日営業運転開始。2017年8月23日に恒久対策完了。[2][9][10]
資料差:JERA「国内火力発電所の取り組み」[12]の2016年6月の行には「2-1軸」という表記があります。本表は2024年パンフレット[2]の「2-3軸」と、第3軸の運転開始リリース[9]が一致することを確認して整理しました。
公表された性能と蒸気供給計画の時点
設備の公表性能と事業開始時の計画・効果見込みを分けています。下の数値を、2026年の年間運転実績や排出量の実測結果としては扱いません。
- MACCの公表熱効率(2013年資料)
- 59%
- MACCⅡ第3軸の対策後の公表効率(2017年資料)
- 約61%
- 蒸気供給の計画規模(2010年資料)
- 年間約30万トン/10社
- 蒸気利用による燃料削減見込み(2010年資料)
- 年間約1.1万キロリットル(原油換算)
- 蒸気利用によるCO2削減見込み(2010年資料)
- 年間約2.5万トン
2号系列第1軸の営業運転開始資料[7]。年間の発電所平均効率ではありません。
最終段翼取替後の公表値[10]。異なる熱量基準や運転条件の数値と無条件には比較しません。
営業開始発表[6]の供給計画。現在の供給量・契約社数は未確認。
各工場でボイラを使う従来工程との比較による当時の見込み[6]。実績値ではありません。
蒸気供給事業についての当時の比較試算[6]。発電所全体の排出量ではありません。
選定した資料で直近年度の施設単体の年間発電量・CO2排出量・稼働率を確定できなかったため、JERA全社や他発電所の値は流用していません。
よくある質問
川崎火力発電所はどこにありますか?
川崎市川崎区千鳥町5-1です。本記事の対象はJERAが運営する川崎火力発電所です。所在地マップは公開住所による検索表示で、見学の受付位置や入場可能範囲を保証しません。[1]
現在も石炭を燃やしていますか?
本記事で扱う現行6軸の燃料はLNGです。1961年の石炭火力としての創設後に燃料転換と設備更新が行われており、昔の燃料と現在の設備を分けて説明しています。[2][9]
出力はどのくらいですか?
JERAが公表する最大出力は342万kWです。50万kWの4軸と71万kWの2軸で構成されます。年間発電量でも、現在の実出力でもありません。[1][2]
1961年と2007年、2016年、2017年は何が違いますか?
1961年は旧設備の創設、2007年は現行設備の初軸の営業運転開始、2016年は現行6軸がそろった年です。パンフレットはリプレース工事の終了を2017年3月としており、営業運転開始とは別に記載しています。[2][3][9]
1号系列の第3軸が先に運転を始めたのですか?
はい。営業運転開始は第3軸が2007年6月、第2軸が2008年6月、第1軸が2009年2月です。設備番号を年代順とみなすと、沿革を取り違えてしまいます。[3][4][5]
発電以外に地域でどのような役割がありますか?
千鳥・夜光地区の近隣企業へ蒸気を供給しています。2010年の営業開始発表には年間約30万トン・10社という計画が示されますが、現在の実績とは区別しています。[6][12]
個人や家族だけで自由に見学できますか?
自由入場ではありません。通常の公式予約案内は企業・団体・学校関係向けです。個人向けの特別企画があっても通常の受付とは別であり、2026年3月の市主催企画は終了済みです。[13][14]
見学の申込みと交通案内はどこで確認しますか?
JERAの現行見学案内[13]で対象・時間枠・申込方法を確認してください。公共交通は市の2026年特別公開案内[14]が参考になりますが、最新のダイヤと予約時に指定される集合場所を優先します。
JERA川崎火力発電所を理解するための要点
本ページでは、JERA川崎火力発電所を神奈川県・川崎市川崎区の火力発電所として記録しています。以下は掲載資料から確認できる基本情報です。
- 記録上の所在地
- 神奈川県川崎市川崎区千鳥町5-1
- 施設種別
- 火力発電所
- 年代・供用状況
- 1961年創設/現行6軸は2007~2016年に営業運転開始
- 発電方式・主要設備
- LNGコンバインドサイクル(MACC 4軸・MACCⅡ 2軸)
- 公表された出力・能力
- 最大出力342万kW(JERA施設案内、2026年9月15日確認)
発電施設としての役割
発電方式、エネルギー源、設備と出力の関係を確認する分類です。特定施設の方式や運転状況、供給先は本文の出典で確認できる情報に限って記載します。 この一般的な役割と、上記の調査本文に記載したこの施設固有の歴史・構造を分けてご覧ください。
見学・現地確認について
掲載上の見学情報は「企業・団体・学校向け予約見学。自由入場不可。受入条件はJERAの現行案内を確認」です。公開日、受付方法、見学可能範囲は変更されることがあります。訪問前に管理者や自治体の最新案内を確認し、現地では指定された見学経路に従ってください。
掲載内容はページ末尾の出典・参考資料14件を基に整理しています。資料間で表記が異なる場合は、自治体・管理者の案内を優先してください。
所在地マップ
神奈川県川崎市川崎区千鳥町5-1
地図は公開住所をもとに検索表示しています。施設の管理区域には立ち入らないでください。
地図検索:公開住所による地図検索 ↗関連タグ
出典・参考資料
- 1JERA「川崎火力発電所」施設案内(所在地・面積・最大出力、2026年9月15日確認)↗
- 2JERA「川崎火力発電所」2024年作成パンフレット(PDF、設備表・工程図・環境対策)↗
- 3東京電力「川崎火力発電所1号系列(第3軸)の営業運転開始について」(2007年6月15日)↗
- 4東京電力「川崎火力発電所1号系列第2軸の営業運転開始について」(2008年6月4日)↗
- 5東京電力「川崎火力発電所1号系列全軸の営業運転開始について」(2009年2月5日)↗
- 6川崎スチームネット・東京電力ほか「川崎スチームネット株式会社の営業開始について」(2010年2月1日)↗
- 7東京電力「川崎火力発電所2号系列第1軸の営業運転開始について」(2013年2月1日)↗
- 8東京電力「川崎火力発電所2号系列第2軸の営業運転開始について」(2016年1月29日)↗
- 9東京電力フュエル&パワー「川崎火力発電所2号系列第3軸の営業運転開始について」(2016年6月29日)↗
- 10東京電力フュエル&パワー「川崎火力発電所2号系列第3軸の低圧蒸気タービン最終段翼の取替について」(2017年8月23日)↗
- 11JERA「沿革」(2019年4月1日の既存火力発電事業等の統合)↗
- 12JERA「国内火力発電所の取り組み」(蒸気供給・需給調整。過去の見学実績は現在の受付条件と区別)↗
- 13JERA「川崎火力発電所見学のご案内」(対象・予約・人数・時間・注意事項、2026年9月15日確認)↗
- 14川崎市川崎区「川崎臨海部オープンファクトリー」(2026年4月10日更新、事業終了済み・交通案内)↗
年代・出典の扱いと現役施設を確認するときの注意はアーカイブの読み方・見学ガイドにまとめています。