建設の背景
垂水市は大隅半島の西側、桜島の対岸に位置する港湾都市である。対岸の桜島からは常時火山灰が飛来するという特殊な自然環境のなかで、昭和32年(1957年)に新城地区の給水安定化を図るため本給水塔が建設された。垂水市の近代水道整備は戦後の復興期に本格化し、本塔はその整備の中期に位置する施設である。
建築的特徴
RC造の円筒形塔体で、高さ約10メートル、貯水容量約120立方メートル。桜島の火山灰と海塩粒子の複合環境に対応するため、外壁コンクリートの配合に高密度化の工夫がなされていたとされる。竣工後も数度の外壁防水補修が記録されており、沿岸・火山地帯特有の過酷な環境への対応が塔体に刻み込まれている。
桜島噴火活動との共存
桜島の噴火活動が活発化した1955年(昭和30年)以降、垂水市内の建造物では火山灰の堆積・腐食被害への対応が恒常的な課題となった。本給水塔も定期的な清掃と防水塗装更新が行われており、火山活動と共存する鹿児島特有の施設維持管理の実態を示す事例となっている。対岸に桜島を望む景観の中に立地するという特有の立地が注目されている。
現況
道路沿いに立地しており、外観を確認することができる。垂水市の戦後水道整備史を示す施設として保存されており、火山地帯の水道維持管理の実態を伝える資料として評価されている。
出典・参考資料
- 1垂水市史編さん委員会『垂水市史 下巻』(2005年)
- 2鹿児島県企業局『鹿児島県の水道50年史』(2003年)
- 3日本水道協会「近代水道遺産データベース」↗
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