建設の背景
枕崎市は鹿児島県薩摩半島の最南端に位置し、カツオ漁業と鰹節製造で知られる港湾都市である。昭和36年(1961年)に港湾背後地の共同給水需要に対応するため、本高架水槽が建設された。水産加工業の盛んな地域で、生活用水と工業用水の安定供給が課題となっており、地区内の配水圧確保を目的としていた。なお、枕崎は1945年の「枕崎台風」(戦後最大級の台風)の上陸地点でもあり、施設設計には台風荷重への対応が強く意識された。
施設の構造と特徴
鋼製円筒タンクをコンクリート架台で支持する形式で、容量は約120立方メートル。港湾に近い立地のため塩分飛来による腐食リスクが高く、竣工後は5〜7年ごとの防錆塗装更新が必要とされていた。補修履歴台帳には、1970年代以降の繰り返し補修の記録が詳細に残されており、沿岸部高架水槽の維持管理コスト実態を示す貴重な記録となっている。
老朽化と撤去
1990年代後半から腐食の進行が加速し、2000年代に代替配水管への切り替えが完了。役割を終えた本槽は老朽危険物として撤去が決定され、2012年(平成24年)に本体・架台・基礎のすべてが撤去された。
記録の保存
撤去前に枕崎市の担当部局が詳細な写真記録と寸法測定を実施し、補修履歴台帳とともに市役所に保管されている。鹿児島県内の沿岸部水道施設の維持管理史を知る一次資料として活用されている。
出典・参考資料
- 1枕崎市史編さん委員会『枕崎市史 下巻』(2007年)
- 2枕崎市水道課「港町高架水槽補修履歴台帳」(1961〜2012年)
- 3日本水道協会「近代水道遺産データベース」↗
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