配水塔現存昭和前期

別府市旧鶴見配水塔

温泉観光地の人口増加に対応して築かれた配水塔。高低差の大きい市街地給水に寄与し、外壁改修を経て塔体が現存する。

竣工1930年
所在地別府市
構造RC造
見学外観観察可(外周道路より)

建設の背景

別府市は温泉地として20世紀初頭から観光都市化が進み、旅館・ホテルの増設と観光客の増加に伴い水道需要が急増した。1927年(昭和2年)に別府市の市制施行後、市は水道施設の拡充を急いだ。1930年(昭和5年)、鶴見丘陵の高台に配水塔を建設し、高低差を利用した重力配水による市街地への給水圧安定を図った。温泉地特有の地熱・硫化水素による配管腐食への対策が設計上の課題であったとされ、腐食耐性を重視した配管材料の選定が行われている。

建築的特徴

RC造の円筒形塔体で、塔高約12メートル。昭和初期に全国的に普及した中型配水塔の標準的な形式を踏まえつつ、別府の傾斜地に合わせた基礎設計が施されている。外壁には昭和初期に見られる縦長スリット状の点検口が設けられており、意匠上も当時の様式を色濃く残している。後年の外壁改修により表面仕上げの一部が変更されているが、塔体の基本形状は創建当時を維持している。

温泉地の水道と腐食問題

別府市の水道は温泉と共存する特殊環境下に置かれており、地熱による地盤温度の上昇・硫化水素の土壌内浸透・高湿度環境が鉄管・コンクリートの劣化を早める要因となっていた。本配水塔の管理においても、定期的な外壁モルタル補修と内部塗装更新が続けられた記録があり、温泉地の水道インフラが通常よりも高頻度の維持管理を要した実態を示している。

現況

現在も塔体が現存しており、外周道路からの外観観察が可能。老朽化評価が継続されており、今後の保存活用に向けた検討が行われている。鶴見丘陵の斜面に立つ姿は別府市の水道史を伝える景観要素としても注目されている。

出典・参考資料

  1. 1別府市水道局『別府市水道史』(1980年)
  2. 2大分県『大分県水道史』(1992年)
  3. 3日本水道協会「近代水道遺産データベース」

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